1995 Fiscal Year Annual Research Report
指向運動に関連したネコ線条体および大脳皮質のニューロン活動
Project/Area Number |
06680801
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大野 忠雄 筑波大学, 基礎医学系, 教授 (50010111)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉野 一行 筑波大学, 基礎医学系, 講師 (30211981)
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Keywords | 大脳基底核 / 尾状核 / 大脳皮質 / 黒質 / 注視 / 随意運動 / 眼球運動 / 指向運動 |
Research Abstract |
本年度は指向運動と線条体との関係について、大脳皮質活動との機能的関連性に重点をおいて実験・解析を行った。 まず指向運動に対する大脳皮質活動(例えば意思、注意)の効果を調べるため、頭部を固定したネコで、与えられた標的を意識的に注視することが尾状核の電気刺激により誘発される指向運動様の眼球運動に及ぼす効果を解析した。その結果、注意をある標的に向けるという行動により眼球運動の誘発率が下がるばかりでなく、誘発潜時が延長することも確認された。 昨年度の研究や上述の知見、他の研究者の報告等から、線条体、特に尾状核では標的の位置等の指向運動に必要な物理的な情報の他に、意思等の様々な内部情報も処理され、これらの皮質活動の情報は指向運動の発現に影響を及ぼすと考えられた。そこで、実際に尾状核への大脳皮質からの入力と、尾状核から黒質網様部への出力の投射関係を逆行性及び順行性のトレーサーを用いて解剖学的に調べた。その結果、眼球運動に関連する尾状核部位から黒質へは、尾状核での誘発眼球運動の性質(方向や大きさ)を反映した投射関係があり、尾状核-黒質-上丘路は運動に密接に関係した情報を送っていることが示された。一方、皮質線条体投射においては、指向運動が誘発される尾状核頭部尾側部へは辺縁皮質等からの投射が多かったが、眼球運動に関連の深い前頭眼野からは指向運動が誘発されない頭部吻側部への投射が中心的であった。これは尾状核が皮質で作られた運動指令を下位へ中継しているのではなく、皮質からの種々の情報に基づいて指向運動の指令を形成し、下位へ送っていることを強く示唆するものである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sugino, K.: "Cognitive nature of saccade-related neuronal activities in the cat striatum." Abs. 4th IBRO World Congr. Neurosci.335 (1995)
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[Publications] Debuchi, J.: "The effect of attentive fixation on eye movements evoked by electrical stimulation of the caudate nucleus in the cat." Abs. Satellite Symposium for 4th IBRO World Congr. Neurosci.33 (1995)