1994 Fiscal Year Annual Research Report
膀胱定圧刺激法による排尿収縮-弛緩リズム発生の中枢神経機構の解明
Project/Area Number |
06680816
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
佐々木 光美 東京医科大学, 医学部, 講師 (10170698)
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Keywords | 排尿中枢 / 橋被蓋 / 仙髄中間外側核 / 膀胱定圧刺激 / 収縮-弛緩リズム |
Research Abstract |
(1)膀胱定圧標本(膀胱内圧:100-150mmH_2O)において、1-3回/分の頻度で膀胱から尿が流出入する、排尿収縮-弛緩リズムが観察された。流出入に伴う膀胱内圧の変動、および膀胱求心性神経から記録したインパルスの頻度に、変化はほとんどなかった。このことより、膀胱求心性入力をさらに増大させて橋排尿中枢を強力に賦活させ続けるという正帰還系は、排尿収縮を持続させるのに必須ではないこと、一定の持続性末梢入力があれば排尿収縮-弛緩リズムを発生させる中枢神経機構が存在することが明らかにされた。(2)橋排尿中枢からの下行路を検索した。電気刺激(<100μAx30、200Hz)により短潜時で膀胱収縮が誘発される部位はかなり限局しており、橋被蓋尾側から閂の腹側に向かい、上部頚髄では側索の腹側、下部頚髄では側索中央部、腰仙髄では側索の背側であった。脊髄内部位は橋排尿中枢とされる背外側橋被蓋へトレーサーの注入により明らかにされた解剖学的結果(Holstegeら、1986)と一致していた。さらに、下部腰髄で側索背側を残し、その腹側の側索及び前索を両側性に切断しても排尿収縮リズムに影響を与えないこと、側索背側だけを両側性に切断すると排尿収縮リズムが消失することから、側索背側は橋排尿中枢最終出力ニューロンの下行路と考えられた。 (3)橋排尿中枢において、排尿収縮時に発火が増加し弛緩時に減少するニューロン、あるいは逆に収縮時に発火が減少するニューロンが多数見出された。そのうち、脊髄下行路の逆行性刺激により同定した最終出力ニューロンは前者において認められ、排尿収縮に先行して発火が増大した。(4)橋-延髄間を切断後、下行路の連続刺激(<100μA、50Hz)により持続的膀胱収縮が起こった。長時間(10分以上)にわたる刺激でも膀胱は弛緩せず、リズム発生機構は仙髄ではなく脳幹に存在することが示唆された。
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