1994 Fiscal Year Annual Research Report
強靱な高含水ポリビニルアルコール系ブレンドゲルの構造、及び膜透過性と生体適合性
Project/Area Number |
06680851
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Research Category |
Grant-in-Aid for General Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
名倉 正宣 信州大学, 繊維学部, 教授 (70021178)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大越 豊 信州大学, 繊維学部, 講師 (40185236)
箕浦 憲彦 通産省, 物質工学工業技術研究所, 室長
田坂 雅保 信州大学, 工学部, 教授 (90020974)
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Keywords | ポリビニルアルコール / ブレンドゲル / 高含水 / 高弾性率 / ポーラス / 高酸素透過係数 / 非細胞付着性 / 非細胞増殖性 |
Research Abstract |
【試料】オートクレーブ中の均一なブレンド溶液としたポリビニルアルコール(PVA)と中性のポリエチレングリコール(PEG)との系と、PVAにポリアクリルアミド(PAAm)をブレンドした系をそれぞれキャストし脱水後、水で再膨潤して得た高含水ゲル、他の一つはPVAにアニオン性のポリスチレンスルホン酸ナトリウム(NaPSS)をブレンドする事により得た凝集物からのものである。 【実験結果】PVA-PEG系ブレンドゲルは、弾性率がPEG分率2wt%で極大を有し、且つ分率が20wt%のもので高弾性高含水ゲルとして知られているPVA水溶液の反復凍結解凍法によるゲルよりも高弾性率なものであった。このブレンドゲルの含水率は、PEG分率増すと増し。分率20wt%で77wt%という高含水なものとなった。これらは、サラミソ-セージの断面に似た構造でPVAのみ又はPVAリッチな均一相とポーラスな領域が分散した構造であることが判明した。いずれのPEG分率のゲルの酸素透過係数も、従来見い出されているハイドロゲルのそれを凌駕しており含水率の増加に伴い高くなった。この理由はポーラス部の存在が重要な役割を果たしている事を示唆している。マウスの線維芽細胞に依る細胞付着性と増殖性の検討の結果、PVAのみのゲルでは対照試料の75%の付着率を示したが、僅か2wt%のブレンドの分率で0%に変化し、PEG分率増大でも同様の結果を示した。細胞の増殖も全く見られなかった。これらのことは高含水率であることに加え、ポーラス構造が一種のミクロドメイン構造に相当し細胞の活性化を抑制する効果を持つことを示唆している。PVA-PAAm系ブレンドゲルもPVA-PEG系ブレンドゲルとほとんど同様な構造と酸素透過性、及び細胞付着・増殖性を示した。NaPSS系については、ブレンド分率増大により弾性率増加、水分率減少、酸素透過係数減少が生じることを見い出した。
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Research Products
(1 results)