1995 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06680854
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田畑 泰彦 京都大学, 生体医療工学研究センター, 助手 (50211371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 壽郎 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (90026089)
筏 義人 京都大学, 生体医療工学研究センター, 教授 (00025909)
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Keywords | 細胞増殖因子 / 血管新生作用 / ゼラチン / ハイドロゲル / 徐放 / 生体内分解吸収性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、細胞の分化増殖を促す細胞増殖因子を材料とうまく組み合わせることにより、積極的に細胞を増殖させる機能を備えた生体材料を開発することである。つまり、細胞増殖因子の徐放化技術とこれまでの人工材料とを複合化することによる生体材料の創製を試みる。そのため、その第一段階としての、細胞増殖因子の徐放化の検討を行った。この徐放化技術により、増殖因子のin vivoでの安定性の向上、ならびにその作用を有効に発揮させることができる。そこで、昨年度においては、増殖因子を徐放化するための高分子ハイドロゲルの調製、ならびにハイドロゲルからのモデルタンパク質の徐放化を調べた。タンパク質はその環境の変化により容易に変性失活することから、まず、架橋ハイドロゲルを作製し、その後、タンパク質をハイドロゲル内に含浸させる方法によりタンパク質含有ハイドロゲル製剤を得た。本年度においては、ハイドロゲル用の生体内分解吸収性の高分子としてゼラチンを取り上げ、グルタルアルデヒドにて化学架橋することによりゼラチンハイドロゲルを作製した。これらの架橋試薬ならびにゼラチンの濃度を変化させることにより、ゼラチンハイドロゲルの分解性はコントロール可能であった。ハイドロゲルからの塩基性繊維芽細胞増殖因子(bFGF)の徐放を試みたところ、ハイドロゲルの分解とともにbFGFが徐放されることがわかった。また、その徐放パターンはハイドロゲルの含水率、つまり分解性により変化した。次に、bFGF含浸ゼラチンハイドロゲルをマウス皮下に埋入した後の血管新生作用を調べた。bFGFの水溶液投与群においては全く変化がなかったのに対して、bFGF含浸ハイドロゲルの周辺には有意な血管の新生が認められ、ハイドロゲルから徐放されたbFGFの生物活性が残存していることが確かめられた。
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Research Products
(1 results)