1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06710204
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Research Institution | Yonezawa women's junior college |
Principal Investigator |
田中 秀和 山形県立米沢女子短期大学, 講師 (90222116)
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Keywords | 神社 / 神仏分離 / 宗教 / 神誠 / 修験者 / 藩制 / イデオロギー / 幕末維新 |
Research Abstract |
(1)調査としては、秋田藩、津軽藩、南部藩、前橋藩などについての史料収集を行った。特に秋田藩については、県立博物館蔵の守屋家資料(秋田藩社家大頭)、津軽藩では岩滝家文書(修験者)の史料を得ることができた。前者は今まで殆んど未公開のものである。また前橋藩については、東北地方のみ限定されない視点をもつために史料調査を行った。従来同藩は近代の地誌の分析によって廃仏毀釈が論じられてきたところであり、具体的な史料の所在を確認するとともに文献の検索を行った。 (2)論文は4本をまとめることができた。その結果、近世中期に在村小社が藩に把握されるに至ったこと、その把握のあり方は、領内宗教者組織を媒介として、村の官応的な非専業、非公認の宗教者を排除あるいは専業化による編成をなしとげることであったとした。近世後期〜幕末期には、宗教者に関する法令が変質し、在方取り締まりの一環として在村の様々な宗教施設や風儀にかんする法令が出されるようになると同時に、津軽藩においては特に在村小社に関して、安政期に最も詳細な神社書上が作成され、そのことによって、神社の明確化がはかられるとした。これらの動向には藩社会の変質が背景にあり、それを乗り切るために、藩は、神社を取り込むことによって、イデオロギー的な面での立ち直りを意図したのではないかとした。特に津軽藩においては、明治初期の神仏分離においては堂社を一村一社に限定し、鎮守を明確化した政策が行われるが、それは、神祗管によって内々に藩の都合向で政策を施行することを容認されたことによるのであって、新政府の政策をいわば下請け的に行われたのではなく、幕末維新期における藩制の対応としての連続性がみられるとした。また、幕末維新期の神社については、村落指導者層たる中間層の動向も提える必要があることを協調した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 田中秀和: "近世の地域社会と宗教" 地方史研究. 250. 82-86 (1994)
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[Publications] 田中秀和: "明治初期の弘前藩と神仏分離" 年報市史研究ひろさき. 4(未定). (1995)
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[Publications] 田中秀和: "近世の領国地域における藩制と宗教" 歴史学研究. 670(未定). (1995)
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[Publications] 田中秀和: "近世の地域社会と在村小社" 渡辺信夫編『近世の生活秩序と地域』河出書房新社刊. (未定). (1995)