1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06730013
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
戸田 裕之 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (10237092)
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Keywords | Unit Root / Cointegration / Error Correction Model / Vector Autoregression / Canonical Form / Maximum Likelihood / Fully Modified Least squares / Lag Augmentation |
Research Abstract |
本研究の目標は、近年の計量経済学の著しい発展によって産み出された,非定常時系列モデルにおけるいくつかの統計的推測法の有限標本パフォーマンスを包括的に比較し,さらに,これら既存の方法の長所・短所の解明により、新たな理論的発展の可能性を探ることであった。残念ながら、まとまった時間がとれる唯一の時期である夏期休暇期と重複して病気療養を余儀なくされたため,いまだ研究の途上であり,結論に到達し成果をまとめるまでにはなおかなりの時間が必要である。とりあえず,現段階での研究の進捗状況を報告する。 比較研究の対象とすべき手法と多いが,本研究では時系列経済分析の分野でもっともよく使われるVARモデルを取り上げ,このモデルで適用可能な3つのアプローチに関する比較を行うことにした。(1)ECM表現におけるpre-test method [Johansen(1991)によるECMの最尤推定を応用する方法];(2)ECM表現におけるnon-parametric method [Phillips(1993)のfully modified least squares];(3)Level VARにおけるlag-augmented method [Toda-Yamamoto(1994)]. 対象とするtime series modelsにおける統計的推測法に関してexact theoryを展開することは不可能であるので、本研究は基本的にMote Carlo実験によって遂行されている。実験のポイントは以下の通りである。(a)異なる方法の意味のある比較を行うための適切なData Generating Process(DGP)を選択する。(b)経済データに典型的な標本数で、研究対象となる各手法のパフォーマンスが、DGPのnuisance parametersにどの程度依存するかを調べる。その場合、パラメータ空間内のすべて点をチェックすることは物理的に不可能なので、なるべく一般性を失わず、かつ実験に便利になるような、DGPの‘canonical from'を見つけだすことが肝要である。(c)Model misspecificationに対する各手法のrobustnessを調べる。とりわけ、DGPがunit rootを含まず、データがstationaryであるケースに対して各手法がどの程度robustであるかを検討することが重要である。 現在,simulation用のprogrammingがほぼ完成し,DGPの選択と‘canonical from'の導出を行っている段階である。今後も引き続き、満足できる成果を得られるよう研究を進めていくつもりである。なお本プロジェクトの進行過程で,Phillips(1993)のfully modified least squaresについての新しい理論的結果が得られたので,それに基づく手法の改善の可能性も同時並行的に追究している。
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