1994 Fiscal Year Annual Research Report
戦後日本経済における長期資金と生産性のパネル分析-有価証券報告書データを用いたパネル・データ分析
Project/Area Number |
06730050
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Research Institution | Fuji University |
Principal Investigator |
武井 安彦 富士大学, 経済学部, 講師 (50254800)
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Keywords | パネルデータ / 有価証券報告書 / 技術進歩 / 生産性 |
Research Abstract |
本研究は有価証券報告書等からの企業財務データをパネル・データ分析手法により実証分析し,戦後日本の経済成長がどのような経済要因によって達成されたのかを分析しようとするものである. A.データの作成 (1)生産性の指標としては主として総要素生産性を用いるので,この生産性を計算するためのデータ,および,長期資金の指標として企業の長期借入金等のデータを,東京証券市場第1部,第2部上場企業を中心に(約1800社),1950年代後半から1990年代までの期間にわたって有価証券報告書,特に,バランス・シートおよび損益計算書等から収集した. (2)バランス・シートの項目,特に資本項目等については取得価格で記載されているので企業の減価償却の方法により異なる算出方法を用いて現在価値に直す.本研究では代表的な手法をサーベイし,Hoshi and Kashyap(1990)および後藤・本城・鈴木・滝野沢(1986)の手法を使い現在価値に変換した.技術知識のストックについても同様に推定を行った. B.推定およびデータ分析の結果 Aで作成・加工されたデータを用いてHomogeneous VES(可変代替弾力性)生産関数を直接推定することにより,どのような経済要因が生産性・技術進歩に影響を与えたかを分析した.その結果従来仮定されていた固定代替弾力性の仮定は問題があること,また,技術進歩に影響を与える要因としてlearning by doingの係数が有意であることが明らかになった.また,ミクロデータを使用したことにより信頼性のある産業ごとの分析が可能となり産業ごとの特徴が幾つか明らかにされた.今後の課題としては,Nonhomogeneousな生産関数の検討,研究開発費が技術進歩に与える効果についてのより精密な分析が挙げられるだろう.
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Research Products
(1 results)