1994 Fiscal Year Annual Research Report
日本型企業間関係の経済的有効性に関する実証的研究-特に企業系列化と企業収益の安定度の測定を中心にして-
Project/Area Number |
06730068
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Research Institution | Tokyo International University |
Principal Investigator |
渡辺 基之 東京国際大学, 商学部, 助教授 (20191801)
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Keywords | 系列化 / 関係会社投資 / 危険分散機能 / 相互保険機能 / 売上高の安定化 |
Research Abstract |
わが国の主要大企業427社(製造業:357社、非製造業115社)を対象に、85年〜93年に渡って日経NEEDSからの財務データを中心に実証研究を行った。そこで次のような研究成果が得られた。 1.系列化の実態を端的に表す関係会社株式は対総資産比でみると一環して増加傾向を見せている。しかしこれを対前年増加率でみると89年をピークにしている。また、93年をベースに関係会社株式残高平均(11.4%)で区分して営業利益率の違いをみると、平均以下の企業の営業利益率は2.76%、平均以上の企業は2.34%であった。この結果、関係会社投資が利益率の向上に貢献しているとはいえないということが推定される。さらに、関係会社売上、関係会社仕入について、各々無い企業及び平均以下・以上の企業に3類型してみても、関係会社取引の無いあるいは少ない企業ほど利益率は高いという結果が得られた。 2.関係会社投資と利益率及び利益率の変動係数を変数とした重回帰分析では次のような結果が得られた。(1)売上高営業利益率の変動係数を従属変数とした重回帰分析では、自由度調整済決定係数が0.06で、この回帰式の説明力は弱いと判断される。(2)売上高変動係数を従属変数とした重回帰分析では、自由度調整済決定係数が0.325で、関係会社への投資を増やすことが売上高の変動を小さくするという売上高の安定化、言い換えれば、危険分散機能が働いているという結果が得られた。(3)売上高営業利益率を従属係数とした重回帰分析では、自由度調整済決定係数が0.463であるが、関係会社ダミ-が統計的に有意でなかった。上記(2)の結果から相互保険機能が働いているとすれば、理論的には関係会社ダミ-は負でなければならない。(4)付加価値生産性を変動係数とした重回帰分析では説明力が弱かった。
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