1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06740003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
齋藤 睦 北海道大学, 理学部, 講師 (70215565)
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Keywords | 超幾何微分方程式系 / b-函数 / 接続公式 / ロ-リチェラ函数 |
Research Abstract |
超幾何微分方程式系の一般化の一つであるα-超幾何微分方程式系は、非常に対称性の豊かな方程式系である。私は以前、このα-超幾何微分方程式系の隣接関係式に関連して、α-超幾何微分方程式系のb-函数-(これは佐藤幹夫氏によって導入された通常のb-函数の類似である。)を定義し、方程式系が正規と呼ばれる場合に計算した。これまでの研究により、このb-函数がα-超幾何微分方程式系の対称性を統制する非常に重要なものであることが判っていた。 今年度、北海道大学大学院生の近藤昌晴氏と共同で、合流型α-超幾何微分方程式系のb-函数を定義し、方程式系が正規の場合に計算した。その結果は、以前に行った合流型でない場合の素直な一般化となっている。 また、神戸大学の高山信毅氏との共同研究では、αが一般プリズム△_1×△_<n-1>の場合に級数解の接続公式を導いた。αが一般プリズムの場合は、α-超幾何函数はロ-リチェラ函数F_Dであるが、既にF_Dの接続公式は、松本圭司氏、佐々木武氏、高山信毅氏、吉田正章氏により、ブレイド群のI-コサイクルとして実現され、また、青山和彦氏、加藤芳文氏、三町勝久氏によりF_Dのq-類似の接続公式も対称群の1-コサイクルとして表わされていた。我々の結果も同様の結果ではあるが、証明方法は新しく、より一般のα-超幾何函数の接続公式への適用が期待される。我々の証明方法の基本的なアイデアは次の通りである。まず、b-函数の理論を応用するとパラメータが特殊でない場合に、△_1×△_<n-1>-超幾何微分方程式系をその特異部分空間に制限することにより、△_1×△_<n-1>-超幾何函数の接続公式が△_1×△_<n-2>-超幾何函数の接続公式から導かれることが判る。更に、△_1×△_<n-1>のセカンダリ-ポリトープを考慮し、底空間を適当に単連結空間に分解すれば、級数解に関する上述の帰納的計算がうまくいき、最後には△_1×△_1-超幾何函数、つまり、ガウスの超幾何函数の接続公式に帰着されるという訳である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Mutsumi Saito: "Normality of affine toric varieties associated with Hermitian symmetric spaces" J.Math.Soc.Japan. 46. 699-724 (1994)
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[Publications] Mutsumi Saito: "Restrictions of α-hypergeometic systems and connection formulas of the △_1×△_<n-1>-hypergeometric function." International Journal of Mathematics. 5. 537-560 (1994)