1994 Fiscal Year Annual Research Report
日本海沿岸地域における中新世の古海洋-日本海の拡大と新潟地域への海の侵入経路-
Project/Area Number |
06740390
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
上田 哲郎 新潟大学, 理学部, 助教授 (90242396)
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Keywords | 日本海沿岸地域 / 中新世 / 古海洋 / 軟体動物化石 / シロウリガイ / 還元環境 / 湧水現象 / 層序対比 |
Research Abstract |
(1)日本海沿岸地域の中新統〜更新統の層序を再検討し,それをもとに海生動物化石の産出層準およびその絶体年代の検討を行い,層序対比表を作成した.その結果,日本海沿岸地域の新生界の層序とこの時期の軟体動物化石群,暖流,寒流系の消長などの古海洋環境と汎世界的海水準変動との対応関係が明らかとなった.このうち,上部中新統〜更新統については太平洋への通路の新第三紀における変遷に関する国際会議にて発表を行った. (2)これまでに報告された資料および未公表の資料を通覧した結果,前期中新世の日本海側への海の進入は,男鹿半島の前期中新統中に堆積相・生痕化石から海の侵入が明らかになっている.また,前期中新世末に古(原)日本海が太平洋と連絡していたか否かに関する問題については,太平洋側の海が高遠地域の守屋層(N.8)まで北上したことが明らかとなっている.しかし,長野・松本地域では確実な資料は報告されていない.一方,N.9-10(15-14Ma)には中央隆起帯によって日本海側と太平洋側から侵入した海とは隔絶されている.今後,各地の堆積相による海成層の存否,糸魚川-静岡線の長野-松本以西の新生界の再検討によりこれらの問題が解決できることが明らかとなった. (3)新潟県下の中新統の調査の際に見いだした柿崎地域産のシロウリガイ類化石の詳細な化石の産状,新潟地域における同化石の時空分布の検討を行った.その結果,同化石は中・後期期中新世には柏崎・銚子線以西には広範に分布しており,この地域の還元的な古海洋環境およびシロウリガイ類が生息し得る深海の湧水現象を伴う断層運動が明らかとなった.
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