1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06740649
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Research Institution | Natural History Museum and Institute, Chiba |
Principal Investigator |
藍澤 正宏 千葉県立中央博物館, 動物学研究科, 学芸研究員 (10260241)
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Keywords | 分類学 / 魚類 / ハゼ科 / ミミズハゼ属 |
Research Abstract |
ミミズハゼ属とそれに類似するシロクラハゼ属、セジロハゼ属、ヒモハゼ属、シロウオ属の4属を対象に形質状態の確認や構成、共有形質の分布構成を明らかにし、ミミズハゼ属魚類の分類学的な最検討を目的として、本研究に使用する標本の収集、他の研究機関から借用、観察標本特に骨格二重染色透明化標本の作成および観察を中心に、既知種の模式標本の調査も合わせて行った。 国内の博物館や大学等(国立科学博物館、東京大学総合研究資料館、横須賀市自然博物館、琉球大学海洋学科など)に保管されているミミズハゼ属の標本を種類、個体数、産地、標本の状態など項目で調べた結果、保管されている標本数は少なく、また現在1種とされていたヒモハゼ属に明らかに未記載種と思われる標本があった。模式標本および必要な一部の標本については、軟X線写真の撮影を行った。 新鮮な標本資料を入手するため、神奈川県小田原市根府川、静岡県下田市須崎、沼津市千本松原海岸、徳島県海部群牟岐大島、青森県東津軽群三厩村龍飛崎、新潟県相川町達者で収集を行った。標本収集の結果、ミミズハゼ属の未記載種を含む多数の標本およびシマシロクラハゼ、陸奥湾内からしか報告されていないアワユキセジロハゼ龍飛崎から新たに採集することができた。採集した標本はスライド写真撮影を行い、生時の色彩を記録することができた。収集した標本を中心に骨格二重染色透明化標本の作成を行ったが、作成に時間がかかり、完成したのは観察予定標本の二割にも満たなかった。 ミミズハゼ属の未記載種と思われる標本を多数得ることができ、これまでの予備調査で標本数の少なかった種についても胸鰭の形態や脊椎骨数などの形質変異を解明できた。また新たに生時の色彩が外部形質として特に成熟個体の雌雄判別に利用できること、産卵期の特定できた。一部の成果については魚類学会で口頭発表を行った。今後、この研究を進める上で、第一に未記載種を整理し、記載することが急務であり早急に学術誌など報告するつもりである。
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