1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06750142
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 一郎 東京工業大学, 工学部・化学工学科, 助手 (00183111)
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Keywords | 代替フロン対策 / エステル油 / リン酸エステル / 摩耗防止剤 / 焼付け防止剤 / フリクションポリマー / 分子設計 |
Research Abstract |
エステル系の代替フロン対策用冷凍機油に適する摩耗防止剤の開発を行った.エステル油は高極性なので高極性の添加剤が有効である.しかしリン酸部分エステルのような反応型の添加剤では,高極性の添加剤が潤滑性と同時に高い腐食性を示した.これは添加剤の過剰反応が主な原因なので,適度な安定性を付与した分子設計を施した.腐食防止の目的にはアルキルアミンのような塩基性物質との併用が一般的であるがエステル油に対する溶解性で難点が見られた.腐食性のない極性添加剤としてヒドロキシル基をえらび,これをリン酸エステルの分子内に組み込んだ.このヒドロキシアルキルリン酸エステルをエステル油に添加してピン-ブロック式焼付き試験と四球式摩耗試験で潤滑性を評価した.アルキル基に二重結合があると顕著な耐荷重能と摩耗防止能が見られた.試験後の摩擦面近傍には重合物のような付着物が生成しており,この付着物の生成量が多いほど高い潤滑性向上が観察された.不飽和化合物とリン酸エステルの共存でフリクションポリマーの生成が知られているので,本研究で観察された結果も同様のトライボ化学反応と考察した.なお摩擦面反応の前段階である吸着過程に注目してヒドロキシル基を分子内に組み込んだがこの官能基が潤滑性能に直接影響を及ぼさなかった.不飽和結合のπ-電子が遷移元素のd軌道に配位する錯体形成を推定し,新たな課題として新生面が関与する吸着プロセスを加味した設計が示唆された.
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[Publications] Ichiro MINAMI: "MOLECULAR DESIGN OF NOVEL LUBRICITY ADDITIVES: ORTHO-PHENYLENE PHOSPHATES." Abstract of American Chemical Spring Meeting. 95年4月発行予定 (1995)
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[Publications] 南 一郎,岡部 平八郎: "摩擦調整剤の分子設計;ヒドロキシアルキルリン酸エステル" トライボロジー会議 '95春 予稿集. 5月発行予定. (1995)