1994 Fiscal Year Annual Research Report
頭蓋内圧脈波の振動解析シミュレーション用実験モデルの試作
Project/Area Number |
06750248
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Research Institution | Numazu National College of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 茂樹 沼津工業高等専門学校, 制御情報工学科, 助手 (10196818)
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Keywords | 頭蓋内圧 / 頭蓋内圧脈波 / 振動解析 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では,今まで医師の経験に頼っていた脳疾患者の診断をより的確かつ定量的に実施できるようにするために頭蓋内圧脈波の発生機構を明らかにすることを目的として,頭蓋内の実体を模擬した力学的モデルを製作し,工学的立場から実験およびシミュレーションを中心とした基礎的な研究を行った. (1)動物実験データの収集・解析 成猫を用いた動物実験においては,炭酸ガステスト,硬膜外バルーンテストなどを実施し,この時の脳動脈圧および頭蓋内圧などを測定した.脳動脈圧と頭蓋内圧とのデータの関係をあらわす指標としてヒステリシス面積率を定義した.ヒステリシス面積率は,頭蓋内圧亢進など,頭蓋内に異常が発生すると高くなることが確認された. (2)頭蓋内の力学モデルによる実験 本研究で製作した力学モデルは,頭蓋骨に相当する容器,脳実質に相当する弾性体,血液および髄液の循環系に相当する流体などから構成される.また,髄液の流れによって等価質量が増大する効果を実現するための絞りおよび頭蓋内部の非線形性を実現するためのゴムシートによる非線形ばねをふくむ頭蓋内の実体をより精確に模擬したものである.このモデルにたいして振動実験を行った.動脈流を模擬した脈流を入力し,このときのモデル内部の圧力変動(頭蓋内圧に相当)を測定し,動物実験データと比較した.製作したモデルにおいては,容器内部の平均圧が高く,入力圧力の変動周波数が高くなるほど,ヒステリシス面積率が上昇した.これは,前述の動物実験の結果とよく一致している.今後は,頭蓋内部の様々な疾患を物理的に再現するためにさらにモデルの改良をしていく必要がある.
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