1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06750606
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
福岡 庸一 東京工業大学, 工学部, 助手 (30251630)
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Keywords | 単層ラチスドーム / 靭性 / 偏心接合 / 編成構造 / 弾塑性解析 / 等分布荷重 / 水圧載荷 / 施工性 |
Research Abstract |
研究者らは,単層ラチスドームにみられる座屈後の急激な耐力低下を改善することを目的とし,新たな構造形式の開発研究を行っている。この目的のもと,本年度は2つの形式についてその力学特性を調べた。それらは,節点を面外方向に分離し,単層ラチスドームに複層構造的な特性を持たせることをねらったもの,そして軸方向に連続した通し部材を編み込むことにより構成され,部材が交差する接合部に特別なノードを必要としないドームで,それぞれ偏心接合ラチスドーム,編成ラチスドームと呼ぶ。 偏心接合ラチスドームについては,数値計算によるケーススタディにより,その力学特性を調べた。まず,節点を面外方向に分離させたドームの6角形の最小ユニットについて有限要素法に基づく弾塑性解析を行い,通常タイプのものとの比較からその力学的メカニズムを解明した。次に,このユニットを一ブロックとしてこれを組み合わせてできるドームについての解析を行い,本形式のドームが曲げ機構の導入により靭性に優れた力学挙動を示すことを検証し,その実用の可能性を示した。 編成ラチスドームでは,接合部での拘束条件を調整することにより,交差する部材同士で相互にすべりが生じ,それが全体構造としての靭性をもたらす可能性が考えられる。本年度は,まず,平板の通し部材により構成されるドームの縮小模型を対象とし,水圧による等分布載荷実験によりその力学挙動を調べた。次に接合部での部材間のすべりをモデル化した数値解析を行い,接合条件による力学性状への影響を考察した。これらより,本形式のドームでは,通し部材を用いているため施工が簡便かつ短期間で行えること,また接合部で部材間のすべりが生じた場合,個材に集中する応力が周辺の部材に分散され,ダクタイルな性状を示すことが明かとなった。
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