1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06760019
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Research Institution | College of Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
上地 由朗 東京農業大学短期大学部, 生物生産技術科, 講師 (20214520)
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Keywords | 水稲 / 水耕栽培 / 窒素揮散 |
Research Abstract |
土壌-作物-大気システムとしての圃場における窒素の収支および動態の詳細を解明すべく、植物体地上部からの窒素揮散に着目し、水稲の主要ステージに取り込まれた窒素の損失量と損失時期を明らかにしようとした。供試品種は水稲日本晴で、10%の硫安を投入した水耕栽培を行い、経時的にサンプリングして植物体と水耕液の(重)窒素分析より次のような結果を得た。 1.地上部における窒素濃度は出穂前30日、出穂期および出穂後15日における地上部の窒素濃度は、それぞれ2.5、2.2および2.0%程度であった。 2.葉身の窒素保有量は、生育に伴う低下が顕著であった。 3.出穂前30日からの1週間に吸収した窒素は,その約5%が即座に損失するが、その後の損失はほとんど認められなかった。 4.出穂期からの1週間における吸収窒素は、出穂後30日になって損失が見られたが、その量は極めて少なかった。 5.出穂後15日からの1週間における吸収窒素も出穂後30日に損失が認められたが、出穂期の吸収窒素の損失量に比して多くなり、吸収窒素の約10%がそれに相当した。 6.以上のことから、出穂前の吸収窒素は体内の過剰分が即座に排出され、それ以外はほとんどが体内に留まるのに対して、出穂期以降の吸収窒素は登熟後期に損失することから、葉身老化に伴う分解窒素が体外に排出される可能性が強いと考えられた。
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