1994 Fiscal Year Annual Research Report
悪性固形腫瘍における顆粒球系コロニー刺激因子受容体の発現
Project/Area Number |
06770136
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
加藤 優子 東海大学, 医学部, 助手 (60246080)
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Keywords | 顆粒球コロニー刺激因子 / 顆粒球コロニー刺激因子受容体 / autocrine機構 / 同形腫瘍 / ヌードマウス / RT-PCR |
Research Abstract |
【目的・方法】腫瘍の産生する増殖因子が腫瘍細胞自身に作用し、増殖を刺激するというAutocrine機構は種々のin vitro実験系で提唱されてきたが、実際にin vivoの固形腫瘍でこの現象を明らかにした研究はない。本研究では、G-CSF産生腫瘍の増殖・悪性転化機構が腫瘍細胞より自律性に産生されるG-CSFのAutocrine機構によって説明でき得るかを考察することを目的とし、腫瘍細胞上のG-CSFRの発現を、RT-PCR法、in situ receptor binding法などの手法を用いて、遺伝子・蛋白レベルで検討することを目的とした。我々は既にヒトG^CSF産生ヌードマウス移植腫瘍株10株を樹立・同定済みであり、今回これら10株のヒトG-CSF産生ヌードマウス移植腫瘍株について、RT-PCR法を用いてG-CSF受容体(Granulocyte Colony-Stimulating Factor Receptor,G-CSFR)の産生・発現を検討した。G-CSFR遺伝子発現はG-CSF産生ヌードマウス移植腫瘍材料より精製・抽出したRNAを鋳型にし、G-CSFR遺伝子に特異的なプライマーを用いたRT-PCR法(Reverse Transcriptase-Polymerase Chain Reaction,RT-PCR)を行い、G-CSFR遺伝子の発現を検討した。 【結果】RT-PCR法により胎盤及びヒト悪性リンパ腫由来細胞株(U937)を用いてG-CSFR遺伝子の発現が同定可能であることを確認した。in situ RT-PCR法によりG-CSFR遺伝子転写産物の同定を試みたが、腫瘍細胞上に直接G-CSFR遺伝子転写産物を確認・同定することはできなかった。そこで、G-CSFRの細胞表面上での発現を腫瘍材料組織切片に、蛍光標識G-CSFを用いたin situ receptor binding法を施し、免疫組織化学的に検討中である。また、G-CSF産生腫瘍を担癌させたヌードマウス固体に、既に作製済みの抗G-CSF抗体を投与し、抗G-CSF抗体投与による治療実験を行ったが、腫瘍の増殖速度の変化は起こらなかった。
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