1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06770348
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
松本 博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20219512)
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Keywords | FNH / 続発性アミロイドーシス / TNFα / SAA |
Research Abstract |
肝臓のfocal nodular hyperplasia(FNH)を伴いネフローゼ症候群を呈した続発性アミロイドーシスの一例を経験した。その症例ではFNHの摘出後、amyloidA(AA)は激減し、ネフローゼも寛解した。一方、FNH組織抽出液のAAの前駆体であるSAAと炎症惹起性サイトカインのTNFαは周辺正常肝組織のそれに比し約100倍の増加を示したが、IL-1、IL-2ならびにIL-6活性は両組織で差がみられなかった。このことはアミロイドの形成にはTNFαが重要な役割を演じていることを示唆している。本事実に注目し、カゼインの皮下投与によるマウスアミロイドーシスモデルでのTNFαのSAA産生への影響を検討した。0.8%カゼインを3週間皮下投与してマウスアミロイドーシスモデルを作製すると、肝臓、腎臓ならびに心臓にダイロン染色陽性のアミロイド沈着が散見された。一方、recombinant TNFαを同モデルに腹腔投与すると各種臓器におけるアミロイド沈着は増強した。次にカゼイン投与時の内因性ならびに組織限局性のTNFαの関与を知るべくマウスアミロイドーシスモデルの脾臓抽出マイクロファージを用いて検討した。LPSを脾臓由来のマクロファージに添加すると、明らかに内因性TNFαの産生が亢進した。以上、FNHでは、腫瘍自体が刺激となり周辺臓器からTNFαを産生させ、SAAの産生増強をきたす結果、AAが増加し、その後、各臓器にアミロイドが沈着するものと考えられた。
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