1994 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍病態における各種増殖因子とプロスタグランジンの意義-分子生物学的検討-
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06770380
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
福田 隆 大阪市立大学, 医学部, 助手 (90218925)
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Keywords | TGF-β / プロスタグランジン / フィブロネクチン |
Research Abstract |
Transforming growth factor-β(TGF-β)は各種創傷モデルにおいてその治癒を促進させることが知られているが、消化性潰瘍治癒における役割は明らかにはされていない。我々は岡部らの方法に準じてラットに酢酸潰瘍を作成し、その治癒過程におけるTGF-βおよび各種細胞外基質のmRNA発現動態をNorthern blot法を用いて検討した。さらに、潰瘍治癒促進作用を有するプロスタグランジンE1誘導体および潰瘍治癒遅延作用を発揮するインドメサシンによりTGF-β動態におよぼす影響を検討し、以下の結果を得た。 1.TGF-βのmRNAは健常部に比し潰瘍部位で有意に増加していた。特にその増加は潰瘍治癒の早期にピークを有し、その後漸減し瘢痕期ではほぼ正常レベルに戻った。 2.コラーゲン、フィブロネクチン(FN)、ラミニンなどの細胞外基質mRNAの潰瘍部位での発現も、健常部に比し有意に増加していた。その増加はTGF-βと同様もしくはやや遅れてピークを示した。 3.正常組織では発現を認めない胎児型フィブロネクチンmRNA(EIIIA,EIIIB-FN)の発現が、治癒早期の潰瘍部位で認められた。 4.プロスタグランジンE1誘導体により潰瘍部位でTGF-βは有意に増加し、逆にインドメサシンによりTGF-βは低下した。 以上のことより、TGF-βが消化性潰瘍治癒において重要な役割を果たしていることが明らかにされた。また、その作用機序として各種細胞外基質の産生促進作用が推測された。さらに、プロスタグランジンE1誘導体による潰瘍治癒促進作用に潰瘍部位でのTGF-βの増加が関与する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)