1994 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌におけるum23-H_1,H_2遺伝子の発現とその異常及び胃生検への応用
Project/Area Number |
06770386
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大栗 健彦 北里大学, 医学部, 助手 (10185233)
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Keywords | nm23 / 胃癌 / 免疫組織化学 / イムノブロッティング |
Research Abstract |
昨年、胃癌組織におけるnm23-H1,H2蛋白の発現を、免疫組織化学により検討し、(1)高分化型腺癌に比べ、低分化型腺癌でnm23-H1,H2蛋白の両者とも発現が低下する傾向があること。(2)各々の症例においては、nm23-H1とH2蛋白の発現の強さが相関しないものは進行癌で多い傾向があること。(3)組織学的ステージ、リンパ節転移、再発などの他の臨床病理学的因子との関連性はなかったこと。 (4)nm23-H1,H2蛋白の発現と予後との関連性は認められなかったことなどの結論を得た。本年度は、16例の胃癌凍結組織と隣接する正常組織、及び3例の胃癌細胞株から蛋白を抽出し、nm23-H1,H2の両者を認識する抗体(長崎大・腫瘍医学・珠玖教授より供与)でimmunoblottingを行った。また、6例の胃癌凍結組織と隣接する正常組織よりRNAを抽出し、nm23-H1,H2にそれぞれ特異的と考えられる塩基配列をRT-PCR法により増幅し、半定量的な解析を加えた。上記の検討の結果、nm23-H1,H2は、免疫組織化学の結果((1)、(3))と同様で、腫瘍細胞の分化との関連性が示唆された。なお、immunoblottingの結果、nm23-H1,H2蛋白とも、各々の分子量(20KD,18KD)とは異なるバンドを約55KDに認め、腫瘍組織より正常組織で強い傾向を示した。同様の症例でRAS蛋白に対する抗体を用いimmunoblottingを行うと、nm23-H1,H2蛋白と同様にRAS蛋白とは異なるバンドを約55KDに認め、腫瘍組織より正常組織で強い傾向を示した。現在この55KDの蛋白の同定を行っているが、nm23-H1,H2蛋白はRAS蛋白と関連がある可能性があり、今後検討していく予定である。
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