1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト培養胃癌細胞株を用いた転移モデルの開発とそれに対する各種因子の及ぼす影響
Project/Area Number |
06770392
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
岩崎 良三 順天堂大学, 医学部, 助手 (20260888)
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Keywords | ヒト培養胃癌細胞株 / ヒト培養大腸癌細胞株 / 転移モデル / 細胞骨格 / 細胞外基質 |
Research Abstract |
我々はヒト培養胃癌細胞株を用いて、培養皿の中央に一定面積の円形sheet状にinoculationし、その後の細胞の周囲への遊走性を、位相差顕微鏡上で経時的に測定するとともに画像解析装置により、その転移の方向性、速度などの広がりを検討するモデルを開発した。 この癌転移モデルは、in vitro系で簡便に癌細胞の遊走能や増殖活性を定量的に解析できるモデルである。このモデルを用いて、我々はヒト培養胃癌および大腸癌細胞株の細胞運動、遊走性を定量的に解析し、細胞骨格蛋白であるアクチンの阻害剤であるcytochalasinB、ミオシン軽鎖キナーゼ阻害剤であるwortmannin、カルモジュリンの阻害剤であるW7を各種濃度添加することにより、細胞骨格の役割を検討することから始めた。その結果、アクチン阻害剤、ミオシン阻害剤、カルモジュリン阻害剤により転移能が有意に抑制されることが明らかとなった。 さらに培養液の細胞外基質をコラゲーンI型、コラゲーンIV型、ラミニン、フィブロネクチンなどに変えることにより、その影響をも検討し、癌転移のメカニズムを細胞生物学的に検討した。その結果、ラミニン、フィブロネクチン、コラゲーンI型、コラゲーンIV型の順に転移能の低下が確認された。 現在、培養液の細胞外基室をコラゲーンIV型に固定し、各種濃度のEGF、TGF-α、TGF-β、HGFなどの各種癌増殖因子や抑制因子を添加し、その転移能を検討中である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 岩崎 良三: "ヒト培養胃癌細胞株を用いた転移モデルの開発" 日本消化器病学会雑誌. 91. 1706- (1994)
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[Publications] 大野 康彦: "in vitro培養系転移モデルを用いたヒト培養大腸癌細胞株の検討" 日本消化器病学会雑誌. 91. 1736- (1994)
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[Publications] 岩崎 良三: "大腸癌転移における遊走・接着能の役割" 医学のあゆみ. 173. (1995)
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[Publications] 岩崎 良三: "in vitro細胞培養系転移モデルを用いたヒト培養胃癌細胞株の細胞骨格の転移機構における役割についての検討" 日本消化器病学会雑誌. 92. (1995)