1994 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞間の接着解徐と肝細胞-基質間の接着によるチロシンキナーゼとPLCγの活性化
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06770398
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
高橋 正明 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90256404)
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Keywords | 肝細胞 / 細胞接着 / チロシンキナーゼ / PLC_γ |
Research Abstract |
肝細胞間の接着解除と肝細胞-基質間の接着により、イノシトールリン脂質系の代謝が促進される成績を得ている。この機序の解明のため、細胞間接着の解除(カドヘリン関与)と細胞-基質間の接着(インテグリン関与)により、チロシンキナーゼの活性化が起き、それに伴ってPLC_γが活性化され、イノシトールリン脂質代謝が促進されるかどうかについて検討を行なった。 ラットを用いてコラゲナーゼ潅流法にて肝細胞を分離、培養を行った。肝細胞と基質との接触は、肝細胞のcollagen-coated dishへの播種により行ない、肝細胞間の接触の解除は、24時間培養後のconfluentになった細胞の外液からのCa^<2+>の除去によった。それらの細胞のcytosol分画を用いて、チロシンキナーゼ活性の測定をProtein Tyrosin Kinase Assay Systemを用い、PLC_γのチロシンリン燐酸化の検出は、抗PLC_γ抗体で免疫沈降された蛋白をWestern blot法を用いて抗フォスフォチロシン抗体をprobeとして行なった。細胞内IP_3濃度の測定は、脂質分画においてIP_3 Assay Systemにて測定した。 肝細胞と基質との接触により、チロシンキナーゼ活性は約3倍に増加し、チロシンリン酸化PLC_γの軽度の増加と、細胞内IP_3の有意な増加を認めた。肝細胞間接着の解除では、チロシンキナーゼ活性とチロシンリン酸化PLC_γに有意な増加はみられなかったが、細胞内IP_3濃度は軽度の増加を認めた。 以上の成績より、イノシトールリン脂質代謝は、肝細胞と基質との接触によりPLC_γのチロシンリン酸化により促進され、肝細胞間接着の解除では他のPLCの活性化により促進されると推察された。
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