1994 Fiscal Year Annual Research Report
ラット肝培養伊東細胞のヒアルロン酸合成に及ぼすエタノールとその代謝産物の影響
Project/Area Number |
06770407
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
浦島 左千夫 金沢医科大学, 医学部, 助手 (10193963)
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Keywords | アルコール性肝障害 / ヒアルロン酸 / 伊東細胞 |
Research Abstract |
アルコール(AL)性肝障害では、血中ヒアルロン酸(HY)値が高値を示す例が少なくないが、その機序として類洞内皮細胞でのHYの分解能の低下、ないしはFat storing cell(FSC)によるHYの合成亢進の可能性が考えられる。そこで、正常および慢性AL投与ラット肝より分離・培養したFSCのHY合成能について検討することとした。1.FSCの分離・培養・正常および慢性AL投与Wistar系雄性ラットからTsutsumiらの方法に従ってFSCを分離・培養した。すなわち、ラット肝をプロナーゼとコラゲナーゼで潅流後、メトリザマイドを用いた比重遠心法により、FSCを分離・採取し、Dulbecco's MEMを用い、37℃、5%炭酸ガス下で培養した。なお、培養FSCの同定はデスミン染色によって確認した。伊東細胞は培養開始3日目より細胞数が増加し始め、9日目以降は定常状態を示した。2.HY濃度の測定:HY結合蛋白(HABP)を用いたSandwich Binding Protein Assay(SBPA)法により測定した。すなわち、ポリスチレンビーズ上に固相化したHABPと回収した培養液とを反応させた後、ビオチン化HABPを加え、さらにペルオキシダーゼ標識化アビジンを結合させ、o-phenylene-diamineを加えて発色後、492nmにおける吸光度を測定し、標準曲線からHY濃度を測定した。なお、FCS加Dulbecco's MEMに含まれているHY濃度を測定し、検体の濃度を補正した。3.正常ラット肝由来培養FSCにおけるHY合成能:FSCの増殖にともなうHYの経時的推移についてみると、培養3日目 254±54mg/dl、5日目 846±43mg/dl、9日目 1026±86mg/dおよび、12日目 1580±120mg/dlであった。これらの結果から、SABP法によるHYの測定は培養3日目から可能であり、またFSCの増殖とともに、HY産生の増加することが明らかとなった。4.慢性AL投与ラット肝由来培養FSCにおけるHY合成能:培養3と5日目のHY濃度は、287±78mg/dl、912±122mg/dlであり、いずれも対応する正常ラットのHY濃度より高い傾向を示し、培養9日目では1500mg/dl以上、培養120日目では2000mg/dl以上で、正常ラットより明らかに高い値であった。これらの実験結果から、慢性AL投与が培養FSCのHY合成能を促進することが推定された。
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