1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06770436
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
佐野 暢彦 久留米大学, 医学部, 助手 (90235440)
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Keywords | MAGE遺伝子 / 癌退縮抗原 / 肺癌 / CTL / 固形癌 / キラーT細胞 / MAGE遺伝子ファミリー / HLA拘束性 |
Research Abstract |
1)肺癌を含むひと固形癌でのMAGE遺伝子の発現を200症例以上において検討し、その4〜5割以上にmRNAレベルでの発現が認められた。その一方で正常組織では全く認められなかったことよりMAGE遺伝子発現はきわめて癌特異的であることが示唆された。さらにMAGE I,III,IV,IV-1,VIなどのMAGEファミリーはそのcDNA遺伝子をクローニングした。また、MAGE I,IV-1のRecombinant proteinを作製し、それに対する血中抗体(癌患者)の存在を確認するとともに、MAGE-1 recombinant protein発現性大腸菌を抗原として患者末梢血リンパ球より自家癌を選択的に障害するキラーT細胞を誘導した。これらより、当初の計画に準じた成果があげられたものと考えられる。 2)MAGE-1蛋白に対するpolyclonal抗体を用いて各種癌組織内におけるMAGE-1抗原の存在を実証した。またMAGE-41蛋白に対するpolyclonal及びmonoclonal抗体を用いて、MAGE-41蛋白の細胞内発現及び血清レベルでの測定のELISAを確立した(検出限界10pg/ml)。その結果、mRNAレベルで確認できない癌組織においてもMAGE-41蛋白が認められた。さらに消化器癌患者血清では3-4割、肝癌患者血清では6割と高率に認められた。一方、正常人血清、非癌患者血清中では殆ど検出されないことより腫瘍マーカーとしての可能性も示された。 3)MAGE遺伝子がメラノーマのみならず各種癌においてmRNAレベルのみならず蛋白レベルにおいても広範に発現されていることが明らかになったことは癌ワクチンの候補分子としてのMAGEを考えた場合重要である。また、HLA拘束性もHLA-A1からCw1601さらに-A2拘束性の可能性も細菌T.Boonらによって証明された。本研究においては肝癌においてMAGE-1発現癌細胞を選択的に障害するCTL株を樹立したが、そのHLA-class I拘束性の決定が未解決であり、現在HLA-class I C locusのシークエンスとその拘束性を検討中である。
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