1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06770465
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
瀬川 文徳 東邦大学, 医学部, 助手 (50196937)
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Keywords | 神経移植 / MRI / 拡散強調画像 / 脊髄損傷 / Waller変性 |
Research Abstract |
脊髄損傷を含め様々な神経疾患への神経移植による治療が近年の話題になっている。移植片の生着の評価が問題になっているが、脊髄に対する移植片の生着、髄鞘の変化の評価を、我々はMRIを使いin vivoで行った。 ラット(生後1〜2日)の下部胸髄を麻酔下手術にて切除し、胎生14日のラットの脊髄を同じ長さに切除し移植した、1〜16週間ラットの活動能力を評価し、軽度より中等度の協調運動障害が残ったが、運動能力の回復していることを確認した。運動能力の評価後に麻酔下でMRIで、移植組織片の変化を確認した。移植組織片はT2強調画像およびプロトン密度画像では正常脊髄組織より高信号に描出され、T1強調画像では低信号に描出された。運動能力の回復が不良で、移植神経組織が生着されなかった場合には、T2強調画像でも消失し描出されなくなっていた。更に、拡散強調画像により移植片および移植片以下の下部脊髄を評価すると、生着した神経組織では拡散係数が増加し正常脊髄の白質灰白質の構築は失われて細胞外液の増加した構築であることが明らかになった。一方、移植片以下の下部脊髄では拡散強調画像で白質灰白質の正常組織構築が明らかに区別され、白質の拡散異方性は保たれて脱髄性変化がないことを明らかにすることができた。MRI撮影後に、実際に病理学的変化を確認し比較したところ、MRI撮影結果と同様に生着した移植神経片は正常脊髄の白質灰白質の構築は失われて、有髄神経線維数は減少しているものの移植片内を通じていた。移植片以下の下部脊髄では正常構築が保たれていた。 今回の研究で、MRIにて移植組織および移植片以下の下部脊髄組織の回復の評価が可能であった。特に拡散強調画像では組織構築の変化の評価が可能であった。この研究を移植片の生着に関わる因子、条件、および薬物のin vivoの評価に応用でき、将来研究を重ねていく必要がある分野と思われた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 瀬川 文徳,他: "Waller変性と考えられる錐体路病変、拡散係数による検討" 臨床神経. 33. 92-94 (1993)
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[Publications] 瀬川 文徳: "MRによるALSにおける錐体路異常の分析" 臨床神経. 33. 835-844 (1993)
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[Publications] 瀬川 文徳、他: "拡散異方性による大脳白質病変の検討" Brain and Nerve. 46. 765-770 (1994)