1994 Fiscal Year Annual Research Report
マグネシウムとヒト血管内皮細胞刺激応答の変化について-遺伝子発現との関連-
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06770505
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
白井 馨 京都府立医科大学, 医学部・内科, 助手 (00254326)
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Keywords | prostacy clin / HUVEC / magnesium / phospholipase A_2 / PGHS / competitive PCR |
Research Abstract |
ヒト臍帯静脈から分離培養した血管内皮細胞を用いてbradykinin(BK),interleukinl-α(IL-lα),thrombin(Th)およびcaptoprilなどの種々の脈管作動物質がPGI_2産生量の15分から180分までの経時的変化に与える影響を検討し,またBCECF/AMをもちいた細胞内pHの測定系,fura-2/AMを用いた細胞質内遊離Ca^<++>濃度への測定系およびMag-fura-2/AMを用いた細胞内遊離Mg^<++>濃度およびIP_3量などの測定系の影響について検討した。また同時に遺伝子工学的手法(competitive PCR法)によりPGI_2産生に関連するphospholipase A_2(PLA_2),PGHSなどの遺伝子のmRNA発現量におよぼす影響を検討した。その結果PGI_2産生量はBKおよびThにより添加直後から増加したが,IL-lαは添加直後は変化なく,添加60分後から増加した。また細胞内pHはBK,Thによりアルカリ化したが,IL-lαでは変化無く,細胞質内遊離Ca^<++>濃度はBK,Thにより増加したが,IL-lαでは変化を認め無かった。細胞内遊離Mg^<++>濃度はBK,ThおよびIL-lαにより増加したが,IP_3産生量はBKならびにThにより増加したが,IL-lαにより変化しなかった。この際PLA_2,PGHSのmRNAの発現量はBKおよびThにより添加直後から増加したが,IL-lαにより添加直後は変化を認めなかったが,添加60分後より増加することが判明した。従ってIL-lαにより観察された添加60分後からのPGI_2産生亢進作用は主として関連する酵素のmRNAの誘導による酵素量の増加による可能性が考えられた。また内皮細胞のPGI_2産生調節機序は種々の脈管作動物質によって異なり細胞内pH,細胞質内遊離Ca^<++>濃度,細胞内遊離Mg^<++>濃度,IP_3産生量あるいは遺伝子のmRNA発現などによって複雑に制御されていることが判明した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 中川雅夫: "血管内皮細胞におけるPGI_2産生の制御調節機構-細胞内情報伝達との関連-" 血管. 17. 115-124 (1994)
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[Publications] 山本克己: "thrombinによるヒト血管内皮細胞のPGI_2産生亢進機構におけるCa^<++>およびIP_3の役割ならびにG-proteinの関与" 京府医大誌. 103. 889-904 (1994)