1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06770590
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
黒沢 祥浩 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00195588)
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Keywords | 癌抑制遺伝子 / ウイルムス腫瘍 / WT1遺伝子 |
Research Abstract |
1990年にウイルムス腫瘍の癌抑制遺伝子であるWT1遺伝子が単離され、その後、同遺伝子の変異がウイルムス腫瘍の発生に関わっていることが報告されている。我々は、日本人小児ウイルムス腫瘍(32例)のDNAにおけるWT1遺伝子の変異について検討し、本遺伝子のエクソン7における多型性(1塩基置換;A→G)を見いだした。この多型についてはすでにイギリスのグループによって報告され、正常人におけるこの部位のヘテロ接合性は25%としている。我々の検討では、日本人ウイルムス腫瘍においてはヘテロ接合性は25%であるという結果を得ている。今回、我々はWT1遺伝子の変異のみだけでなく、本遺伝子のヘテロ接合性の消失が、腫瘍発生に関わっているのではないかという仮説をたて、まず、この塩基対におけるヘテロ接合性の頻度を明らかにすることを目的として、正常人の血液を用いて多型の検討をすすめた。 正常人の末梢血から抽出したDNAにおいて、エクソン7におけるヘテロ接合性の頻度を検討した。その結果、ヘテロ接合性の頻度は腫瘍DNAと有意差が認められず、上記の仮説の実証にはなり得なかった。そこで、他の塩基対の多型についても同様のことがあり得るかどうかを検討課題として、全エクソンについて調べることを目的として、mRNAのレベルで多型を検討中である。
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