1994 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
06770603
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
渡辺 千晶 日本大学, 医学部, 助手 (30256854)
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Keywords | 慢性肉芽腫症 / チトクロームb558 / 点突然変異 |
Research Abstract |
患児抹消白血球よりAGPC法を用いてmRNAを抽出し、cytochrome b558の重鎖cDNAに特異的なprimer3組によりRT-PCRを行ったところ、正常対象とほぼ同じ長さの断片が、ほぼ同量に認められた。このことにより、患児では、点突然変異を持つことが考えられた。次に、各断片を塩基配列用のplasmid vectorに組み込み塩基配列を決定したところ、CからTへの点突然変異を認め、この結果101番のアミノ酸HistidineがTyrosinへ変換していることが判明した。その他には点突然変異を認めないことにより、この変異が患児における小児慢性肉芽種症の原因であると考えられた。また、点突然変異は従来の報告には認められない新しいものであった。 Western blot分析でcytochrome b558重鎖の欠損を認めるにもかかわらず、軽鎖は完全欠損ではなく、その量的減少を認めるにすぎないことより、101番目のHistidineはcytochrome b558の軽鎖との結合に重要な部位であることが判明した。 また、共同研究者の柿沼らはESRにてhemeの結合部位がcytochrome b558重鎖の101番目のHistidineである可能性を報告している。これらのことにより、本患児の点突然変異はhemeの結合に影響を与えている可能性がある。現在、患児の抹消白血球を用いてhemeの結合部位の検索を行っている最中である。
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