1994 Fiscal Year Annual Research Report
好中球のレオロジー活性からみたBehcet病の病態に関する研究
Project/Area Number |
06770622
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
飯島 茂子 筑波大学, 臨床学系, 講師 (30251060)
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Keywords | Behcet病 / 血液レオロジー / 好中球 / 血小板 |
Research Abstract |
【対象】正常人コントロール17例、Bechet病患者15例、疑い例8例、再発性口腔アフタ4例で、Behcet病患者はここ半年以上、症状が繰り返すUnstable group 8例と、症状が殆どないstable group 7例に分けた。 【結果】(1)正常人好中球は、0.2nM PDGF添加後、10分(p<0.01)、30分(p<0.001)に通過時間の延長を認めた。 (2)Behcet病Unstable groupの好中球は、PDGF0.2nMに対し、添加直後より通過時間の延長(p<0.05)を示し、正常人の反応と比べても、添加後1分(p<0.01)、10分(p<0.01)、30分(p<0.001)と有意な差を認めた。 (3)活性化補体による好中球の反応性:正常人の反応に比し、ベーチェット病Unstable group、stable group、疑い例、再発性口腔アフタでは、それぞれ0.001,0.05,0.001,0.01の危険率を認めた。また、ベーチェット病unstable groupはstable groupと0.05の危険率で有意差を認めたが、再発性口腔内アフタとは有意差はなかった。 (4)自己血小板の凝集により放出された因子による好中球の反応性:血小板の凝集により、ベーチェット病unstable groupのみ、正常人の反応に比べて危険率0.001で有意に反応性の亢進を認めた。さらに、Unstable groupはstable groupと0.01、再発性口腔内アフタとは0.001の危険率で有意差を認めた。 (5)血小板凝集後の各群通過時間のパターンは、PDGF0.2nM添加後10分における通過時間のパターンとほぼ一致した。 【考察】今までPDGFに好中球の遊走能があることは知られていたが、粘着能も亢進させることが明らかになった。 そして、ベーチェット病患者の好中球は、血小板の凝集、補体の活性化にともなって、正常人より有意なレオロジー活性の亢進を示し、特に血小板凝集後の亢進は再発性口腔内アフタの群とも、よく鑑別されることが示された。つまり、Behcet病における血小板と好中球の相互作用、特に好中球がPDGFに過剰に反応することが証明され、本疾患の難治性潰瘍の発生機序に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)