1994 Fiscal Year Annual Research Report
Schonlein-Henoch紫斑病発症における溶連菌の役割の解明
Project/Area Number |
06770665
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
橋本 明彦 北里大学, 医学部, 講師 (30180821)
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Keywords | Schonlein-Henoch紫斑病 / IgA免疫複合体 / 溶連菌 |
Research Abstract |
溶連菌性扁桃炎に伴い発症したSchonlein-Henoch紫斑病(S-H紫斑病)患者5例の紫斑部凍結切片を抗IgA抗体および抗溶連菌抗体で免疫染色したところ、IgAは全例の真皮上層血管壁にみられ、2例においては真皮上層に抗溶連菌抗体と反応する顆粒状の沈着物が認められた。一方、溶連菌陰性患者ではIgAの沈着のみ認められた。同一患者の血清よりポリエチレングリコール法を用いて、免疫複合体を分離し、SDS-PAGE、ウェスタンブロット法を施行後、抗IgA抗体および抗溶連菌抗体で免疫染色した。5例全例において、免疫複合体中にIgAの存在が確認され、さらに、2例の患者においては抗溶連菌抗体と反応する成分(分子量64kdないしは70kd)が検出された。これらの免疫複合体を再融解し、健常人好中球、補体の存在下で^<51>Cr-release法により、皮膚血管内皮細胞に対する障害性を検討したが明らかな血管内皮細胞障害はみられなかった。そこで溶連菌標準株より作成した菌体抗原で好中球を活性化し、障害性を検討したところ、血管内皮細胞のプレート面からの剥離が促進された。溶連菌成分が血中免疫複合体中および病変部皮膚に検出されることから溶連菌がS-H紫斑病の発症抗原の一つとして作用していることが示唆された。しかしながら、溶連菌成分を含むIgA免疫複合体、好中球、補体だけでは内皮細胞障害が起こらないということは、S-H紫斑病の紫斑発現にはプラスアルファの因子が必要であると考えられた。今後は好中球活性化に関しては、補体以外にG-CSFなどのサイトカインや菌体毒素の役割、血管内皮細胞側ではELAM-1などの接着分子についての検索が必要と考えた。
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