1994 Fiscal Year Annual Research Report
乾癬皮膚移植SCIDマウスを用いた乾癬浸潤リンパ球の解析
Project/Area Number |
06770666
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
大川 司 北里大学, 医学部, 助手 (60203717)
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Keywords | 乾癬 / SCID マウス / 移植モデル / 浸潤リンパ球 |
Research Abstract |
乾癬の病態を形成する上で浸潤リンパ球のはたす役割が最近、注目されており、浸潤T細胞の放出するIFN_7が乾癬病変部の培養表皮細胞の増殖を促すとの報告やTh1 clone cytokineが乾癬病変形成を規定するとの報告がなされている。しかし、それらを検証する満足のいく実験モデルは存在しない。われわれは、遺伝的にT細胞およびB細胞の機能が欠如した重症複合免疫不全を呈するSCIDマウスを用いた移植モデルの作成を試み、拒絶反応もなく、生着することを確認した。またSCIDマウスに移植した尋常性乾癬病変部皮膚は経時的な観察の結果、一端、乾癬の組織学的特徴を失った移植皮膚において移植6週後、乾癬型表皮肥厚が再現された。今回、さらに浸潤リンパ球のはたす役割を解析するために症例の蓄積を行い,40%の確率で移植4〜6週後、乾癬型表皮肥厚の再現をみた。浸潤細胞中、好中球は移植後2週で全ての症例において消失したが、リンパ球はCD4^+、CD8^+細胞ともに漸次、減少はするも維持され、乾癬型表皮肥厚が再現された移植4〜6週後、CD4^+優位の急激な増殖を示し、一部は表皮内にも侵入した。それに伴い一端、陰性化した表皮細胞のHLA-DRも表皮下層より陽性を示した。経時的に採取した組織をもとに各種cytokineのmRNAレベルでの発現についてRT-PCR法により検索したところ、乾癬型表皮肥厚の再現に伴いCD3δ、IL-6mRNAは増強し、IFN_7、IL-12、p35、TNF_α、IL-8mRNA発現を認めた。IL-2、IL-12 p40、IL-1amRNAの発現は認められなかった。以上より本実験モデルにおいて乾癬浸潤リンパ球はIL-2、IFN_7といったTh1 clone cytokineに規定されるというよりもIL-12 p35関与によってIFN_7を産生し、表皮細胞のHLA-DRを陽性化することにより乾癬型表皮肥厚を形成する可能性が示唆された。なお、IFN_7mRNA発現の局在を明らかにするため、in situ hybridization法を試みるも結果不明瞭であり、現在in situ RT-PCR法による解析を検討中である。
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