1994 Fiscal Year Annual Research Report
ウィルス性発疹症様患者におけるヒトヘルペスウィルス6型感染の検討
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06770680
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
長谷川 優子 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80237990)
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Keywords | ウィルス発疹症 / 免疫不全患者 / 潜伏ウィルス再活性化 / ヒトヘルペスウィルス6型(HHV-6) / サイトメガロウィルス / EBウィルス |
Research Abstract |
全身性発疹症の多くは,ウイルスあるいは薬剤が原因と考えられているが,麻疹,風疹,伝染性紅斑などの典型例以外のウイルス発疹症は診断が困難であり,特に免疫不全患者(抗腫瘍剤やステロイド剤の全身投与,HIV感染など)においては確定診断が難しい.日常の診療で免疫不全状態の患者が,薬剤アレルギーともウイルス発疹症とも診断のつかない皮疹を全身に認め来院してくるのにしばしば遭遇する. 潜伏ウイルス(ヘルペス科)は輸血,輸液,移植,種々の免疫低下状態等を引き金として再活性化し様々な症状を呈して,特にサイトメガロウイルス(CMV),EBウイルス(EBV)は伝染性単核球症様症状を起こすと言われている.しかし,発疹に関しては,ウイルス学的検索は未だなされていない. 今回,免疫不全状態でみられる急性発疹症についてHHV-6その他CMV,EBVの再活性化の有無を検討した.当院皮膚科の患者において免疫不全状態で,急性発疹症をていする患者と皮疹を認めない患者,そして健康正常人より種々の検体(咽頭ぬぐい液,血清,皮疹部および無疹部の組織)を採取して,各ウイルスについてEIA法で抗体価を測定し,PCR法を用いてDNAの検出を行った.同意を得た免疫力の低下した皮疹のある患者3例,皮疹のない患者4例,健康正常者1例に対し行い検討したが,免疫不全で皮疹を有す3例の内,CMVの再活性化が考えられた者1例,HHV6の関与が考えられたもの1例,EBVの再活性化が1例と分かれ,症例が少ないため有意と思われる結果は得られていない.今後,もっと症例を蓄積し検討していく予定である.
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