1994 Fiscal Year Annual Research Report
てんかん発作発現機構と一酸化窒素(センサーによる脳内直接測定法を用いた研究)
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06770767
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
小薗江 浩一 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (60260783)
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Keywords | 一酸化窒素 / ペンチレンテトラゾール / てんかん / 一酸化窒素合成酵素 / 一酸化窒素センサー / ラット |
Research Abstract |
中枢神経系に対する一酸化窒素(NO)の役割が注目されている。NOの生物学的作用は、基本的には興奮性のものと考えられている。その例は、長期増強効果や虚血性神経細胞死への関与である。しかし、NOが興奮性の役割をもつにもかからわず、NOとてんかん現象との関連性は不明である。そこで、私はラットのペンチレンテトラゾール(PTZ)けいれんモデルを用い、次の実験を行った。 PTZは80 mg/kgの用量で腹腔内に投与した。(1)NOの計測:Malinskiら(1992)の原法に改良を加え、NOセンサーを作成した。それをラットの脳内に留置して、PTZ投与後の脳内NO濃度の経時的変化を観察した。(2)NO合成酵素阻害剤の効果:NO合成酵素阻害剤としてN-メチル-L-アルギニンとN-ニトロアルギニンメチルエステルを用いた。その腹腔内投与がPTZ誘発けいれんの発現に及ぼす効果を検討した。結果は次のようであった。(1)PTZを腹腔内投与すると、約30秒後からけいれん発作が始まり、約10分間持続した。脳内NO濃度はけいれんの開始とともに上昇し、約4分後にピークに達した。しかし、けいれん発作終息の約2分前からNO濃度は低下し始め、ベースラインに戻った。(2)N-メチル-L-アルギニンとN-ニトロアルギニンメチルエステルはともに、PTZ誘発けいれんの発現を有意に抑制し、その出現までの潜時を有意に延長した。この抑制効果は、NOの基質であるL-アルギニンの併用投与により消失した。 以上から、PTZ誘発けいれんの発現にはNOが深く関与していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Kouichi Osonoe: "Antiepileptic effects of inhibitors of nitric oxide synthase examined in pentylenetetrazol-induced seizures in rats" Brain Research. 663. 338-340 (1994)
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[Publications] Hidekatsu Yokoyama: "Increase of central nitric oxide during pentylenetetrazol-induced seizures in rats" The Japanese Journal of Psychiatry and Neurology. (印刷中).