1994 Fiscal Year Annual Research Report
白血病細胞のG-CSFに対する反応性とG-CSF受容体の構造異常に関する研究
Project/Area Number |
06770855
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
上野 博則 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40232772)
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Keywords | 顆粒球コロニー刺激因子 / G-CSF受容体 / 急性白血病 / 骨髄異形成症候群 / 突然変異 |
Research Abstract |
本年度は新鮮白血病細胞のG-CSFに対する反応性を、細胞の増殖応答性・^3H-Thymidineの取り込みを用いて解析し、G-CSF受容体の発現をフローサイトメトリー法によって解析した。また同時に、それらの細胞と当研究室で保存した白血病細胞からDNAを抽出し、PCR-SSCP法でG-CSF受容体遺伝子の細胞内領域の突然変異について検討した。 G-CSF反応性およびG-CSF受容体発現の解析では、10例について検討を行ったが、受容体発現量とG-CSF反応性に差異がある症例は認められなかった。また、急性白血病および骨髄異形成症候群(MDS)患者30例の骨髄単核球からDNAを分離し、G-CSF受容体遺伝子の細胞内領域(exon16およびexon17)についてPCR-SSCP法による突然変異の解析を行ったところ、急性骨髄性白血病3例、MDS2例において異常バンドを検出し、G-CSF受容体遺伝子のexon17領域の変異が予想された。現在異常バンドを検出した5例において、exon17をPCRで増幅し塩基配列を解析している。 今後は、上記の実験から明らかにされた突然変異をsite-directed mutagenesis法により人工的に作成し、各種増殖因子依存性白血病細胞株(TF-1,UT-7,Ba/F3など)に導入、細胞増殖能や分化誘導能の変化を観察するとともに、G-CSF刺激時の細胞内チロシンリン酸化パターンの違いを野性型G-CSF受容体遺伝子導入細胞と比較する予定である。また正常人や各種白血病細胞株においても同様の解析を行い、G-CSF受容体遺伝子のpolymorphismや白血病細胞株における変異G-CSF受容体遺伝子の役割についても検討を加える予定である。
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