1994 Fiscal Year Annual Research Report
低レニン性高血圧における腎臓内レニンアンジオテンシン系の遺伝子発現と役割
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06770872
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
内藤 真礼生 慶応義塾大学, 医学部・内科, 助手 (90198010)
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Keywords | POCA食塩高血圧 / 低レニン性高血圧 / アンジオテンシン変換酵素阻害薬 / アンジオテンシンII / ブラジキニン / ナトリウム利尿 / 水利尿 |
Research Abstract |
DOCA(15mg/日,皮下注)の投与及び食塩負荷によりDOCA食塩高血圧(低レニン性高血圧)モデル犬の作製を行った。2週間の投与で平均約30mmHgの昇圧を認め、血漿レニン活性は測定感度以下と低値であった。 低レニン性高血圧モデル犬に対し、アンジオテンシンII受容体拮抗薬としてDup753(6mg/kg/hrdiv)を投与した。投与後3時間にわたり、血圧、脈拍、糸球体濾過率(イヌリンクリアランス)、有効腎血漿流量(パラアミノ馬尿酸クリアランス)に有意な変化は認めなかったが、尿量、尿中Na排泄量は有意に上昇した。低レニン性高血圧モデル犬においてもアンジオテンシンII受容体拮抗薬の投与により水Na利尿を認め、全身循環血中のアンジオテンシンIIと腎組織内のアンジオテンシンIIは異なる調整を受けている可能性が示唆された。 次に、正常モデル犬、低レニン性高血圧モデル犬の各々の腎組織のアンジオテンシンI、アンジオテンシンII、アンジオテンシン変換酵素活性の測定、またアンジオテンシンIIタイプI受容体のmRNAの発言量をPCR法を用い比較した。その結果、両群において、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、アンジオテンシン変換酵素活性およびアンジオテンシンIIタイプI受容体のmRNAの発現量に有意差はなかった。このことは全身循環血中のアンジオテンシンIIと腎組織内のアンジオテンシンIIは異なる調整を受け、低レニン性高血圧において、受容体発現調節に変化はなく、アンジテンシンIIの腎組織内濃度も低下していないことが示された。
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