1994 Fiscal Year Annual Research Report
腎機能低下状態におけるin vitroの髄質浸透圧物質の動態
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06770882
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
曽根 正好 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90246471)
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Keywords | 細胞浸透圧調節 / 尿濃縮力障害 / 浸透圧物質 |
Research Abstract |
腎髄質における利尿状態と抗利尿状態での浸透圧物質の動態は近年になってはじめて明らかにされるに至った。しかし、慢性的に尿濃縮力障害を来たした状態での浸透圧物質の動態はいまだに明かでないので、我々は腎障害ラットを作成し、尿濃縮力障害を来たした状態での腎髄質浸透圧物質を測定し、検討を行った。5/6腎摘されたラットを4週間飼育し、慢性的に尿濃縮力障害を来たした状態とフロセミドを投与した状態での腎髄質浸透圧物質の変化を測定した。尿浸透圧はコントロール(n=6)で1398±192.2mOsm/kgH20に対して尿濃縮力障害ラット(n=6)では917.7±214.3mOsm/kgH20であった。尿量はコントロールで7.3±0.78ml/minであったが、腎摘群では19.5±1.1ml/minと増加を示し、フロセミド投与群(n=6)では尿浸透圧が313.6±134mOsm/kg H20,尿量が198.1±39.7ml/minへと変化した。一方、腎髄質における浸透圧物質の総量はコントロールでは2113.2±163mmol/kg proteinであったが、腎摘モデルでは699±50.9mmol/kg proteinと著明に減少していた。有機浸透圧物質としてはベタイン、グリセロフォスフォリルコリン、ミオイオンシトールなどが腎摘ラットで認められたが、ソルビトールはほとんど測定できなかった。フロセミドを投与した後も腎髄質の浸透圧物質は急激には変動していなかった。これらの結果から、次の2つの結論を得た。第1に、腎髄質での有機浸透圧物質は髄質浸透圧環境によってその組成を変化させる可能性があり、浸透圧が十分に高張でない場合は、ソルビトールの生成が抑制される可能性がある。第2に、尿濃縮力障害下でも細胞の浸透圧調節は行われていると考えられるが、有機浸透圧物質は急激な変化を示さず、むしろ慢性的な変化に対応するものであると考えられた。
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Research Products
(1 results)