1994 Fiscal Year Annual Research Report
胎生期における脳神経障害の発生機構に関する実験的研究
Project/Area Number |
06770900
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
塩谷 朋弘 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (60261062)
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Keywords | 胎児 / 低酸素血症 / 脳神経障害 |
Research Abstract |
本研究では低酸素状態が脳神経細胞などの発達過程にいかなる影響を及ぼすかを検討するために,ラットを用いて子宮内胎児発育遅延モデル(IUGR model)を作製し,これまでにこの分野において解析が行われていない遺伝子レベルでの障害プロセスを明らかにすること目的としていた. ラット胎児組織のDNA合成能をフローサイトメトリーで定量的に評価する方法の報告は皆無であったので,まず条件検討に入った.細胞分離に必要な試薬や濃度や種類は,Hanks′Balanced solution,Puck′solution,Trypsin-EDTA,およびHEPES Buffer Solutionなどを使用するのが最適と判断された. 胎児脳組織の変化をより細分化して検討するために,大脳,脳幹,小脳,海馬などの分離を試みた.すなわち胎齢19日前後の妊娠ラットをバルビツレート麻酔下に開腹し,胎児脳組織を摘出したが,胎児組織が小さいため,低酸素の形態的影響が容易に出現するといわれている海馬組織を分離することは不可能であることが判明した. 慢性的虚血によって発生するIUGR modelを作成する前に,一過性虚血実験を行うべく、子宮動脈のクランプを行って胎児の生存を確認した. よって,慢性的虚血実験に先立ち,胎児に一過性虚血負荷を加え,対照群と虚血群にわけて脳組織の部位別の細胞回転を,実際的に定量的評価が行いうる段階にあった. 今回の震災により,その後の実験は一時的に中断されたが,フローサイトメトリーをはじめとする精密機器の被害がほとんどなかったため,また実験動物の供給も可能で,実際遂行スタッフのなかにも身体的被害を被ったものはなかったため,早々に実験を再開しているところである.
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