1994 Fiscal Year Annual Research Report
ホットバルーンカテーテルによる解離腔接着に関する研究
Project/Area Number |
06770930
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
清水 宏一 東京医科大学, 医学部, 助手 (30260938)
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Keywords | ホットバルーンカテーテル / 大動脈解離 / 解離腔接着 |
Research Abstract |
本研究は大動脈解離に対し、ホットバルーンカテーテルを加圧、加熱することにより、その解離を接着せしめることを目的とした基礎実験であるが、その予備実験として、ホットバルーンカテーテルの正常な動脈の内腔に及ぼす影響についても実験を行った。 1.正常動脈の内腔に及ぼす影響(雑犬2頭・腸骨動脈使用) (1)肉眼的所見 1ヶ月後:摘出血管は平均して約1.5倍に拡張したが、内腔の狭窄、閉塞所見は認められなかった。 3ヶ月後:内腔表面の性状は不整であり、一部に狭窄を認めた。 (2)病理学的所見 1ヶ月後:内弾性板が伸展し、同部位で中膜壊死が認められ、又、平滑筋細胞が中膜から内膜に遊走し、内膜の肥厚が認められた。外膜も一部が肥厚し、線維芽細胞の増殖を認めた。 3ヶ月後:内膜肥厚は著しく、中膜壊死も明らかで、内膜性板間に線維芽細胞が存在した。外膜も全体的に肥厚著明であった。 2.解離腔接着について(雑犬3頭・胸原部大動脈使用) 解離作成直後、急性期に対して、ホットバルーンカテーテルを使用したものは、一時的な解離腔接着を認めるものの、2日後の再血管造影検査において、接着部位の再解離を認めた。又、解離作成後1ヶ月、3ヶ月の慢性例に対しては、解離腔接着は困難であった。 3.結論 ホットバルーンカテーテル使用時の加圧、加熱による血管壁への影響は予想以上に強く、内膜の肥厚、中膜壊死の原因ともなる。解離急性期の場合、一時的な解離腔接着は可能であっても、加圧、加熱され、前述したような変化を起こした血管壁は、いずれ再解離を起こす可能性が高く、今後さらなる検討が必要である。
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