1994 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌におけるE型Cadherinの発現性についての免疫組織学的研究
Project/Area Number |
06770999
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
吉田 勝俊 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (20220634)
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Keywords | E型 Cadherin |
Research Abstract |
癌の浸潤、転移において重要な役割を占めるといわれる細胞間接着因子E-Cadherin(以下E-CD)の発現性からみた、ヒト大腸癌の生物学的悪性度、ならびに転移の早期予知に関する研究を施行した。対象は平成6年度に手術が施行された大腸癌45例で、手術後20%ホルマリン固定標本におけるE-CDの発現性を検討した。また、45例中、新鮮手術摘出標本が作成できた25例に対しても同様にE-CDの発現性を検討した。1次抗体としては、宝社製抗ヒトE型カドヘリンモノクローナル抗体を用いた。また、染色法は酵素抗体法(ABC法)にて免疫組織学染色を行った。結果としては、今回の研究においては、固定標本、新鮮手術摘出標本いずれにおいても、組織型、壁深達度、脈管侵襲、浸潤形式、リンパ節転移、肝転移などの病理組織学的因子おいて、その程度や有無による腫瘍内のE-CDの発現性に関しては、有意差は認められず、研究当初予想していた、肝転移例、リンパ節転移陽性例、腹膜播種陽性例、組織型の分化度の低い症例、脈管侵襲陽性例などの、高度進行癌症例ほどE-CDの発現性が減弱するということが、大腸癌の浸潤、転移を予知させる生物学的悪性度の一つの指標になる可能性があるという結果は得られなかった。しかしながら、壁深達度が高度な症例、および肝転移症例では、有意差は認めないものの、E-CDの発現性が減弱する傾向が認められ、今後、さらなる症例の蓄積、研究が必要と考えられた。尚、研究開始時は約100例のヒト大腸癌を研究対象としていたが、研究開始時からの約50例に関しては、研究評価の対象とできるような十分な染色結果が得られず、対象からの脱落症例となった。
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