1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヌードマウス自然肝転移モデルとヌードラット自然肺転移モデルにおける接着分子の検討
Project/Area Number |
06771011
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
志田 誠一郎 久留米大学, 医学部, 助手 (50248415)
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Keywords | ヒト大腸癌転移モデル / ヒト大腸癌培養細胞 / 接着分子SLe^x、SLe^a、CD44 / 盲腸移植巣 / 皮下移植巣 |
Research Abstract |
ヒト大腸癌培養細胞KM12SMを5週齢、雄のヌードマウス(KSN/nu)及びヌードラット(KSN/N,nu/nu)の盲腸壁内に注入し、6週及び12週後に屠殺した。同時に皮下移植巣も作製し、培養細胞、皮下移植巣と盲腸移植巣の新鮮凍結標本を用いて、3種の接着分子(SLe^x,Sle^a,CD44)について免疫学的酵素抗体法で検討した。 ヌードマウスの肝転移率は54.5%(12/22)で肺転移率は0%(0/22)、ヌードラットの肝転移率は0%(0/16)で肺転移率は81.3%(13/16)、皮下移植群ではマウス・ラット共に全く転移を認めなかった。 接着分子発現の結果は、培養細胞ではCD44のみ発現を認めた。皮下移植巣では接着分子発現は全て40%以下で、ヌードマウスとヌードラットの間で差は認めなかった。盲腸移植巣ではSLe^xの発現率がヌードマウスで54.5%、ヌードラットでは12.5%であり、両者間で有意差を認めた(p<0.01)。またCD44の発現率がヌードマウスで22.7%、ヌードラットで93.8%であり、両者間に有意差を認めた(p<0.001)。 接着分子の発現と転移との検討では、ヌードマウスにてSLe^xの発現と肝転移との間において有意差(p<0.05)を認めた。しかし他の接着分子やヌードラットにおいては明らかな有意差を認めなかった。 以上の結果から、同じ培養細胞を使用しても種の違いや移植巣の違いによって、接着分子の発現が異なることを確認した。また転移と接着分子の発現に関しては、少なくともヌードマウスの肝転移に関してはSLe^xが重要な因子の一つであることが示唆された。
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Research Products
(1 results)