1994 Fiscal Year Annual Research Report
Xenograftによる支持組織を含めた弁置換の基礎的研究
Project/Area Number |
06771013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
近田 正英 東京大学, 医学部(病), 助手 (40242052)
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Keywords | Xenograft / 弁置換 / 異種移植 |
Research Abstract |
凍結保存同種生体弁は血管内皮細胞の抗原性が消失していることが良好な遠隔成績の原因とする報告があり、一方では凍結保存同種大動脈弁の血管内皮細胞は抗原性を維持して生存し続けているという報告もある。本研究では、まず霊長類同種移植において動脈壁と弁の拒絶反応の強さを比較し、さらに異種移植における検討を試みた。 1、同種移植における検討:(対象と方法)日本猿を用いて、計5回の腹腔内異所性同種心臓移植を免疫抑制剤を用いずに行った。剖検時摘出標本より大動脈壁、肺動脈壁、ならびに大動脈弁、肺動脈弁のH-E染色標本を作り病理組織学的検討を行った。弁の拒絶反応の判定は、Brandlらの基準により、動脈壁の判定は単核球の浸潤の重篤度により行った。(結果)移植心は、移植後8-27日後に拒絶された。心筋には、全例中等度-高度の拒絶反応を認めた。大動脈壁、肺動脈壁はその40%、63%に拒絶反応を認めた。また、大動脈弁、肺動脈弁はその90%、90%に拒絶反応を認めた。動脈壁は、弁に比べ拒絶の頻度も少なくかつ軽度であった。 2、異種移植における検討:(対象と方法)ブタ大動脈を日本猿の腹部大動脈に端側吻合し、同じく肺動脈弁を日本猿の下大動脈に端側吻合し、各2頭でその成績を検討した。(結果)いずれも7日、10日、14日、20日でグラフトからの腹腔内出血で死亡した。 (まとめ)同種間移植においては、弁組織に比べ血管自体に対する拒絶反応は軽度であった。しかし異種間移植では血管に対する拒絶反応も極めて強度であった。
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