1994 Fiscal Year Annual Research Report
核DNA ploidy patternと核形態定量化による肺癌悪性度の検討
Project/Area Number |
06771039
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
山本 達也 帝京大学, 医学部, 助手 (30230569)
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Keywords | 肺癌 / 増殖因子 / 核DNA ploidy pattern / IGF-II |
Research Abstract |
DNA転写活性の指標となるPCNAは、増殖因子(いわゆるgrowth fator)が細胞に何らかの形で作用し、その結果としてDNAのmRNAへの転写活性が上昇したことを示している。本研究の目的は、肺癌における細胞の増殖能と核DNA ploidy patternとの関係を明らかにし、予後の予測が可能かどうかを検討することであるから、細胞増殖能を上昇させるより前駆的存在であるgrowth fatorに注目し、免疫組織化学的にその発現度を検討した。このなかで染色に成功したIGF-IIについて、核形態の定量化を試み、核DNA ploidy patternと増殖因子の発現および予後との関係を調べた。その結果、(1)IGF-II陽性群(n=21)と陰性群(n=9)の生存率をkaplan-Meier法にて検討すると、IGF-II陽性群の5年生存率50.8%に対し陰性群77.8%であり、陽性群の方が陰性群に比べ予後不良であること、(2)核DNA ploidy pattern別のIGF-II陽性率を比べてみると、aneuploid群のIGF-II陽性率は78.9%であるのに対しdiploid群では54.5%であり、aneuploid群にIGF-II陽性例が多いこと、(3)DNA indexはIGF-II陽性例が1.434なのに対し陰性例では1.174であり、IGF-II陽性例の方が高い傾向にあることが明らかになった。また、通常の免疫染色法では、画像解析装置による核形態定量化に耐えうる画像を得ることは困難で、より明瞭な核染色法の検討が必要であった。 増殖因子は種々の固形癌で複数の増殖因子が発現していることが報告されており、肺癌においても複数の増殖因子が発現していることが予測できる。今後は、FGFの発現度を検討すると同時に、核DNA ploidy patternの異常と増殖因子の発現の異常の関連、腫瘍の悪性度との関連の検討を計画している。
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