1994 Fiscal Year Annual Research Report
右心バイパス術後の低体温管理導入による新しい治療体系の確立
Project/Area Number |
06771043
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
浜脇 正好 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (40211487)
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Keywords | 低体温管理 / 右心バイパスモデル / フォンタン手術 / グレン手術 |
Research Abstract |
1.研究方法:成犬を用いて右心バイパスモデルを作製し、右心バイパス手術術後の低体温管理について研究した。モデルは、1)フォンタン手術群、2)グレン手術群、3)対象群とし、各群に対し全身麻酔、気管内挿管調節呼吸下、体温調節を行い(直腸温36-37℃:正常群、33-34℃:軽度低体温群、30-33℃:中等度低体温群)、体血圧、心拍数、上下大静脈圧、左心房圧をモニターし、また電磁血流量計を用いて心拍出量(上行大動脈血流量)腎動脈血流量を測定した。右心バイパスモデルの作製にあたっては、補助手段(人工心肺)を用いずフォンタンおよびグレンモデルを作製したが、フォンタンモデルの作製には困難を極め、今回の研究では2例のみのデータしか得られなかった。また、グレンモデルは右側のオリジナルグレン手術を施行した。 2.結果及び考察:3群とも低体温管理にともない、心拍数の減少、体血圧の上昇、中心静脈圧及び左心房圧の上昇を認め、また心拍出量及び腎血流量も増加した。これらの結果に関してグレン手術群と対象群とに有意な差は認められなかったが、少なくとも臨床において、右心バイパス手術術後に生じた心不全に対し低体温管理を導入し、尿流出の改善など心不全からの回復が認められる機序に関しては、1つの可能性として、低体温にともない全身の循環血液の再分布が生じ、すなわち末梢から中心への再分布が行われ、その結果として心拍出量の増加、これにともない腎血流量の増加(尿量の増加)が引き起こされ、心不全症状からの回復の一助となっていると考えられた。今回、フォンタンモデルの作製が不十分なためにデータが得られず、十分な検討ができなかったことが今後の課題として残った。
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