1994 Fiscal Year Annual Research Report
培養系における青斑核細胞の神経突起伸長に関する研究
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06771094
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
野中 徹郎 自治医科大学, 医学部, 助手 (40221486)
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Keywords | 青斑核 / 松果体 / 混合培養 / カテコールアミン / チロシンハイドロキシラーゼ |
Research Abstract |
中枢神経系におけるカテコールアミン神経の主たる起始核である青斑核を培養し,この核の神経出力を観察した。特に培養液の条件や周囲の細胞が青斑核の神経線維の動向にどのように関与するかに注目し,以下のような知見を得た。 1.新生仔ラット青斑核は,コラーゲンコートしたMEM培地内で約2週間にわたって良好に生育し、細胞体及び神経線維は抗チロシンハイドロキシラーゼ抗体にて強く染色された。 2.青斑核の神経線維は,同一培地内に混合培養された同種ラットの松果体内に進入した。これは両組織の間にグリア細胞が密に存在する時に顕著であった。 3.培地内のNGF(nerve growth factor)の存在の有無は,青斑核の神経線維の動向に関与しなかった。 哺乳類松果体は本来中枢性神経支配をほとんど受けない。本研究によって,培養系の中で末梢性カテコールアミンのみならず,中枢性神経カテコールアミン神経も松果体内に分布しうる可能性が示された。またこれは広く中枢神経ニューロンの神経支配の多様性をも示唆する可能性があり,興味深い。最後に青斑核の神経出入力,特に他組織とのinteractionを検討する上で,培養系におけるラット新生仔青斑核の観察はたいへん有用であることを付記する。
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