1994 Fiscal Year Annual Research Report
腰・仙部神経根周囲組織における痛覚終末分布形態に関する解剖学的研究
Project/Area Number |
06771155
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Research Institution | Saitama Medical University |
Principal Investigator |
上村 直子 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (40245238)
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Keywords | 腰、仙部神経根部疼痛 / 硬膜性被膜 / 自由神経終末 |
Research Abstract |
腰,仙部神経根部疼痛は同部に分布する痛覚終末が刺激されて発生する. ヒトの硬膜管外神経根硬膜性被膜の神経終末,特に疼痛受容器である自由神経終末の分布を明らかにした. 病理解剖より得た腰部神経根組織,非神経病因で死亡した成人3例右側L5,S1後根神経節,神経根を20%中性ホルマリンで3週間固定し,前根後根の中軸を通すように20μm凍結切片を作製し鈴木鍍銀染色を行い,光学顕微鏡にて検討した. L5,S1の神経節と前根,後根の硬膜性被膜に自由神経終末と糸球状小体を認めた. 自由神経終末の分布として神経節の近位端と遠位端に多く認められ,A神経線維とC神経線維に相当した.後根神経節高膜性被膜にある自由神経に終末の数は後根および前根より明らかに多かった.そして,同じ症例においてはL5,S1に明らかな差は認められなかった.後根神経節および神経根の硬膜性被膜に数多く存在している自由神経終末は根性疼痛の発生源である可能性がある. 今後,L1〜S1までの高位別,年齢台別,部位別に分布の頻度を詳細に調べKluver-Barrera髄鞘染色を加えて神経終末の形態と分布をさらに検討を要し,神経節を連続切片で神経終末の求心性走行を検討する.また,動物実験で電気生理学的に自由神経終末の多く存在している硬膜性被膜を刺激し根性疼痛の発生するメカニズムを究明する.臨床上加齢に従い増加する根性疼痛に関して,自由神経終末の数の加齢性変化,および神経線維変性の有無を検討する.
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