1994 Fiscal Year Annual Research Report
手根骨スペーサーの素材に関する実験的研究-腱および皮膚-
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06771166
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
金子 信之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (60185931)
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Keywords | キーンベック病 / 手関節手術 / 皮膚球置換術 / 腱球置換術 / 生物学的スペーサー |
Research Abstract |
末期Kienboch病に対する手術的治療法としての腱球置換術は有用な方法である。いかし、月状骨を摘出した後の空隙は予想以上に広く、長掌筋腱で作製した腱球のみで十分に補填することは困難である。また、数多くの腱を犠牲にして補填することは、新たな機能障害の原因となる。そこで著者は、腱に代わる補填材料として皮膚(真皮)の応用を考え、その有用性について検討するために、家兎の手関節を用いて動物実験を行った。実験には日本白色家兎を使用、両側の手関節背側から愛護的に月状骨を摘出、生じた空隙内に一側には長趾伸筋腱や第二趾伸筋腱から採取、形成した腱球を、他側には腹部より採取した皮膚(真皮)を皮膚球として移植した。術後2週間ギプス固定し、以後経時的に標本を採取し肉眼的、X線学的および組織学的に検索した。実験結果では、両組織とも次第に線維性結合組織に置換され周囲組織と癒着し、実験期間中関節症の発生もなく肉眼的組織学的に有用なスペーサーとして機能していた。 また、carpal heightratio(CHR)の経時的計測でも、両組織間に統計学的上有意差を認めず、皮膚球置換術には腱球置換術と同等の臨床成績が期待し得るものと推測された。しかし、臨床応用に際しては感染や類皮嚢腫の発生に十分留意しなければならず、十分な感染防止対策とともに、上皮組織の実験な切除方法の確立が今後の課題と考える。
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