1994 Fiscal Year Annual Research Report
動的Scapular Y撮影を用いた肩峰下面における上腕骨大結節の動態解析
Project/Area Number |
06771172
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
二宮 俊憲 関西医科大学, 医学部, 助手 (90172733)
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Keywords | 肩関節 / インピンジメント症候群 |
Research Abstract |
肩関節におけるInpingement症候群の成因に関する研究として、平成6年度は下記の事項を行った。 1.Inpingement症候群は、肩関節の挙上時に上腕骨大結節が肩甲骨肩峰に衝突することにより惹起される肩峰下滑液包炎、腱板炎あるいは腱板断裂などを示す。肩峰と大結節の関係を最もよく描出するX線撮影法がScapular Y撮影である。本年度はInpingement症候群が好発する90°挙上位でのScapular Y撮影法を行う際の至適条件を検討した。20人の健常例(ボランティアー)に対し、Fuji Computed Radiography(FCR)を用いて本撮影法を行った。この撮影法はX線を肩甲骨棘上窩の軸に沿って射入するのであるが、肩関節90°挙上位では同時に約135°の水平内転位に位置させないと撮影は不可能であった。この肢位をとることは、健常人にとってもやや困難であり、さらに肩甲骨が胸郭上を著しく前方へ回旋するため、下垂位でのScapular Y撮影と比較すると臼蓋の回旋が大きく、X線フィルムに記録される像は、下垂位と挙上位の両者を重複させ比較することに困難が多かった。 2.マイクロコンピューターを用いて、前述の結果をもとに、大結節と肩峰間の動的関係を検討した。肩甲骨臼蓋の中心を原点とした平面座標上に下垂位と挙上位における大結節の位置をプロットし、その軌跡を円弧として表すことを試みた。前述のごとく臼蓋が挙上位で大きく回旋するために、座標の原点を共通化することが困難であったが、おおまかな傾向として、上腕骨大結節は肩甲骨肩峰の前外側部において最も肩峰の下面に接近した。このことは、現在Impingement症候群に対する手術療法として用いられているAnterior Acromioplastyの正当性を裏付けると考えられた。
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