1994 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト糞便の蓚酸分解活性および糞便中蓚酸分解菌の定量
Project/Area Number |
06771294
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小竹 忠 帝京大学, 医学部, 講師 (60195732)
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Keywords | 尿路結石 / 蓚酸カルシウム / 腸内細菌 / 蓚酸分解菌 / 蓚酸分解酵素 |
Research Abstract |
摂取された食物中の蓚酸がヒト腸管内で分解されるかどうかを調べるためにヒト糞便が蓚酸を分解することができるかどうかをみた。蓚酸カルシウムを主成分とする上部尿路結石患者19例および対照健康人12例の糞便を採取後、速やかに炭酸ガス入りの嫌気ポーターに入れ、検査室に運んだ。H_2C_2O_4・2H_2O1gを含むBarber液体培地に1%、0.1%,0.01%となるように加え、37℃で7日間、嫌気培養した。培養終了後に培地上清中の蓚酸を高速液体クロマトグラフィーで測定し、蓚酸の減少量より糞便の蓚酸分解活性をみた。糞便を培地の1%加えた場合には、対照例では12例中8例が培地中の蓚酸を完全に分解した。これに対して、結石患者群では19例中6例のみが培地中の蓚酸を完全に分解した。糞便が0.1%の場合では培地中の蓚酸を完全に分解した例は対照的で7例、結石群で5例であった。糞便が0.01%の場合では、蓚酸を完全に分解できたのは対照例で7例、結石群で4例であった。完全に分解した例とそうでない例とに分けてみると、1%,0.1%では有意差を認めないが、0.01%の場合のみ結石群のほうが蓚酸分解活性が低いという結果であった。糞便の蓚酸分解活性には個体差が大きいことも判明した。 蓚酸分解菌の定量を容易に行うために、分解菌の定量用培地を開発した。これは二層よりなる寒天培地で、上層は蓚酸カルシウムを加えて白濁させてあり、蓚酸分解菌よりなるコロニーのところは蓚酸が溶けて、透明となる。 健康なボランティヤ-3名で調べたところ、糞便の持つ蓚酸分解活性はニューキノロン剤の3日間投与で著名に減少した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 伊藤晴夫、小竹 忠、山本一弘、原 孝博: "ヒト糞便中の蓚酸分解菌の分離・同定" 医学のあゆみ. 169. 1259-1260 (1994)
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[Publications] H.Ito,H.Hayashi,T.Kotake,Y.Yokoo,K.Yamamoto,T.Hara,T.Furukawa,Y.Nakagawa: "Isolation and Characterization of Oxalate Decarboxylase from Human Intestine Bacteria" Urolithiasis. 2. 101-103 (1994)