1994 Fiscal Year Annual Research Report
α-Toxin処理したRat妊娠子宮筋束の収縮性とそのX線回折
Project/Area Number |
06771371
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
中野 真 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30207849)
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Keywords | 子宮平滑筋 / X線回折 / α-Toxin / A23187 / GTP-γS |
Research Abstract |
子宮平滑筋細胞の収縮タンパクの分子構造変化等を検討するために、X線回折を試みた。ラット妊娠21日目の子宮筋層のX線回折像を撮影してみると、actin filament由来の5.9nm層線と赤道反射、及び、強いcollagen反射が記録された。 黄色ブドウ球菌(S.aureus)の産生する外毒素であるα-Toxinは平滑筋の細胞膜をpermeabilizeし、細胞内をintactに近い状態のまま細胞膜の透過性を高めるという点において非常に有用なモデルである。今回、子宮平滑筋の収縮メカニズムを解明する目的でα-Toxinにて処理したskinned fiberを用いてCa^2+感受性の変化を指標として検索し、妊娠中の子宮平滑筋収縮機構について検討した。 Wistar-今道系ラットを用いて、未妊娠及び妊娠各時期の子宮体部縦走筋からα-Toxinによってpermeabilizeし、更にA23187を用いて筋小胞体を破壊したモデルを作製した。このfiberはpCa7.0〜pCa4.4でCa^2+濃度依存性の張力が認められた。次に、子宮平滑筋収縮機構におけるG蛋白質の関与及びミオシンの脱リン酸化阻害の系による収縮強度を検討するために、各pCa濃度や未妊娠、妊娠各時期にGTP-γSを低濃度より負荷してみた。pCaを一定とし、GTP-γSを低濃度より負荷していくと、ある濃度以上で収縮張力の増大が認められた。又、未妊娠や妊娠初期に比較して妊娠末期(分娩直前)では、低濃度のGTP-γSで収縮張力の増大が認められた。この傾向は、pCa5.5でもpCa6.0でも、同様の結果が得られた。これらの結果は、子宮平滑筋収縮において、Ca^2+-カルモジュリン系によらない、ミオシンの脱リン酸化を阻害することにより収縮張力が増大する系の存在を示唆させるものである。更に、未妊娠、妊娠初期に比較して、妊娠末期でより低濃度のGTP-γSで張力の増大が認められることは、妊娠末期の強大な子宮平滑筋収縮には、この系も、おおいに関与していることが考えられた。
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