1994 Fiscal Year Annual Research Report
家兎の実験的虚血性顔面神経麻痺における代用血漿製剤の有効性について.
Project/Area Number |
06771390
|
Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
甲州 秀浩 山形大学, 医学部, 助手 (90250935)
|
Keywords | 顔面神経 / 顔面神経管 / 浮腫 / 代用血漿製剤 |
Research Abstract |
今回の実験に使用した家兎のコントロール群(a群)における麻痺の発生率は、5匹中4匹80%という結果であった。また、麻痺の平均期間は、約16日間であった。以上の結果から今回の実験系が麻痺に対する治療の効果を判定する目的に合致したものと考え以下の処置を加えた群とコントロール群とを比較して、代用血漿製剤の有効性について検討した。 ヘスパンダーのみを投与した群(b群)、生食のみを投与した群(c群)、ヘスパンダー+ステロイド投与群(d群)、生食+ステロイド投与群(e群)とした。コントロール群とb、c群の間には、麻痺発生率において有意の差は認めなかった。また、d群とe群ではいずれも、麻痺の発生率は20%であり、ステロイド投与による麻痺の予防に関しては基剤の種類によらないことが確認された。 次に、麻痺に陥った家兎の側頭骨内顔面神経を迷路部、膝部、垂直部の各3箇所におけるコントロール群を含む5群の切片を作成し、顕微鏡下に顔面神経管に対して占める顔面神経の割合を計測した。切片の部位を明確にするために、迷路部の切片は、内耳道底部より0.5mm抹消の位置とし、垂直部は茎乳突孔より1mm中枢側とした。b群、c群では、いずれの部位においても著明な浮腫により顔面神経管と顔面神経の間にはほとんどopen spaceは、確認できなかった。しかし、ステロイド投与群であるd群、e群では浮腫の軽減が確認され、特にd群の方がわずかではあるが、e群に比べ顔面神経の浮腫が弱い傾向が認められた。したがって、微少循環改善剤単独の投与は、顔面神経の浮腫を減弱するという点ではなんら効果がないものの、ステロイドと併用することでその抗浮腫効果を増強するものと考えられた。
|