1994 Fiscal Year Annual Research Report
角膜移植におけるドナー角膜の超低温凍結による半永久的保存に関する研究
Project/Area Number |
06771535
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
仁井 誠治 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (40228119)
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Keywords | 超低温凍結 / 角膜移植 / 角膜半永久的保存 / コンピュータープログラミング・フリーザ- / 液体窒素 / グリセリン / 拒絶反応 |
Research Abstract |
ウサギ角膜をグリセリンにて凍結保護処理を行ったあと、SY-LAB社製コンピュータプログラミング・フリーザ-にて-70℃まで凍結し、そののち液体窒素タンク(-196℃)内で永久保存した。3週間后おび3ヶ月后、20℃水浴にて急速解凍し、その后、形態学的に観察した。横断面においては、角膜実質の層構造をはじめとして比較的よく保たれており、角膜内皮の断裂等もみとめず、良好な結果であった。しかし角膜内皮細胞密度は、保存前の65〜80%に減少しており、新鮮角膜に比べ、この面ではやや問題が残ると思われた。凍結保存期間の長短には、この減少は依存しておらず、凍結時もしくは解凍時に生じるものと思われた。凍結のプログラミング、凍結保護剤等さらなる調整が必要と考えられる。同系ラットにおける移植については、上皮を除いて、新鮮角膜の場合と大きな変化はなかった。生着、透明性の維持とも良好であった。上皮代は、やや遅れる印象はあるものの有意な差はなかった。異系ラットにおける移植については、新鮮角膜の場合に比べ、拒絶反応が出現しにくい傾向にあったが、実験眼数が未だ少なく、現在追加実験中である。また、異物としての新生血管誘発能についても新鮮角膜と比べて誘発しにくい傾向にあった。 以上、内皮細膜密度の点で問題はあるものの、将来的には臨床応用につながる可能性があると思われた。
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